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映画[天国と地獄] 黒澤明 感想 [映画メモ]

若い頃、山崎努の大ファンだったのだが、それは自分が若かった故、枯れた渋さに対する憧れみたいなものもあるかと我ながら思っていた。
もちろん唯一無二の素敵さがあった。
インテリで品がいいが、精神の自由さみたいなものがあり、無骨なワイルドさみたいなものもあり、底知れないスナフキンみたいな人。

さて、そして天国と地獄では、若き山崎努が犯人役であることは知ってたんだけど、なんか見てなかったんだよな。

というわけで、見た。
三船敏郎がいいねぇ、ほんと昔の日本の映画俳優の顔の強さ!

それはそうと、こんな話だったんだな。
1963年の映画だけど、人間模様とか、話し方とか、全然古さを感じさせず、普通に見れた。
意外と人間は変わらないんだな。60年前なんてまあ、ついこの間なのかもしれない。

さて山崎勉。
これが、ときめいた。
若くても魅力的だった。山崎努だった。
私本当に山崎努の個性が好きだったんだと改めて思った。
やっぱり、鋭さがある。闇と狂気がありつつ、知性があり、そして軟弱ではない。
癖が強いが、色気がある。
この存在感はやはりそうない。

役柄もぴったりだ。
愉快犯のようなものでありつつ、人の命をなんとも思わない冷徹さがあり、知能犯。
実は病院の貧しいインターン。

しかし終わり方が唐突でびっくり。
これでいいんかーい
という。
でも、この後味の悪さがいいのかも。

殺人犯に対して同情的ではない。
でも、ハッピーエンド良かった良かったという終わり方でもない。

夏は暑くて眠れない、冬は寒くて眠れない、地獄のようなむさ苦しい三畳一間の下宿から見上げる天国のような豪邸。
その格差社会への弱者の逆恨みのようなもの、その切なさみたいなものが一番心に残る。

富士山と江ノ島が見える高台の絶景のロケーションの家で、人が死んでるとか。

薔薇の花を胸にさした山崎努が、外国人の巣窟の怪しい盛り場でヘロインの売人の女と踊りまくるとか。

ヤク中の巣窟で、ゾンビの群れみたいなのの中で禁断症状の女を捕まえる山崎努の鬼畜っぷりとか。

そのあたりは絵が強くて、映画的に面白かった。

身代金を渡すトリックも有名なものらしいけど、わたしは初めてだったので楽しめたし。

三船敏郎の片腕が思いっきりクズで面白いし。

話の筋でいうと、山崎努は、貧しいとはいえ、インターンで、医者になれば、先生として尊敬され、それなりの地位と名誉と金が約束されているはずなのに、なぜ?というところはある。

インターンは多忙なはずで、犯罪の構想を練ってる暇もないんじゃないか。

とはいえ、まあ思うところあって、すでに医者の道に幻滅や挫折を感じていてねじくれていたのかもしれないし、実際そういうインターンはそれなりにいるかもしれないよな。
いや、語学留学に来てた医者がそんなような過去を話していたから、意外といるかもしれないのね。

医者になるまでは、優等生でやってきたけど、いざインターンとして現場に配属されたところで、全然ダメでぼこぼこにされて、鬱になってしまう人が。

というわけで面白かった。
実は黒澤明は、羅生門しか観てない。
7人の侍は見たことはあるが、途中で眠ってしまってちゃんと覚えてない、たしか。
タンポポは見たいよね、やっぱり山崎努好きとしては。
やっぱり見てないんじゃなかったか。
見たとしても忘れてるし。




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映画 日本独立 感想 [映画メモ]

まぁまあ。

白洲次郎に浅野忠信、吉田茂に小林薫、白洲正子に宮崎りえ。

一時期、かなり好きだった俳優さん達だ。

すごく輝いてた時期があった人たち。

それはそうと!

白洲次郎と白洲正子の配役が気に入らず、じゃあ誰なら気にいるんだろうかとそればかり考えてしまい結論が出た。

白洲次郎役、最初はうーん、、と思ったけど、案外浅野忠信で良かったかもしれん、と思った。

ある種、堂々たる凄みがある人じゃないといけないし、かといって型にハマらない飄々とした雰囲気も必要で西洋人に負けない風貌の人が良いが、かといって西洋的容貌ではない方がよい。

その点、浅野忠信は、クオーターならではの人とは少し違う雰囲気がありつつも、あくまでアジアンであり、それでいてそこらのローカル日本人とは違うものもほのかに漂わせる感じがよい。

ディーンフジオカとかもいいか、とも思う。

でもディーンフジオカに分厚い凄みが出せるのかはちょっと不安かも。

であれば、孤狼の血2での凄み評判の鈴木亮平もいいかも。

でもまあ、終わってみて、浅野忠信は良かった。

やっぱり洗練されていて人好きがして、でも何考えているかわからないような、人より上手のような雰囲気は、浅野忠信、よかったね。

風貌だけなら、吉田栄作もありだな。

演技はよくわからんけど、西洋的容貌でさないけど、西洋に押し負けないし、NY行っちゃってたような、そういう感覚もハマると思う。

で、一番の違和感は宮沢りえだ。

白洲正子は、次郎より8歳位若かったわけだし、次郎にとっては可愛い女房的な横顔があるのはあってよいと思うんだけど、少しそういう側面ばかりでなんか違う。

多少はタバコ吸ったり、能をやったり、次郎に意見してみたり、な側面の描写はあるんだが、、やっぱり白洲雅子といえば、才気、センス、自由な精神のようなもの全身から滲みだし、それが容貌の印象を上回るような女優さんに演じてもらいたい。

それに可愛らしい要望というより、キリリとして面長でないと!!

となると誰じゃろう、、と一生懸命考えて思いいたったのは、寺島しのぶ。

美しいけど、美しすぎない。

品の良さ、育ちの良さがありつつ、精神の自由さや濡れ場も辞さない覚悟みたいな強さがある。

内面の魅力が、容貌の魅力を凌駕する感じ。

ただ本当は終戦時、正子は35歳位だったはず。

そう思うと、もう一回り若い人で誰かいないかなあ、、と思って考えついたのは、やっぱり満島ひかりかなぁ。

ちょっとエキセントリックが過ぎる気もするし、美しいさが前面に立ち過ぎる気もするけど、彼女は演技力が高いからカメレオン的に正子もやれる気がする。

あとは太田莉菜あたりか。

彼女は芸能活動今してるのかわからないが、ベタなテイストがなく、クールな風貌でよい、ハマるだろうな。

やっぱり白洲正子といえば、

バッファロー66の頃のクロエセベニー的な存在感なわけで、ファッションセンスと感性で先行しているファッションアイコンや知性や自由さの煌めきで目立つ存在であり、決して容貌の美しさとか女性的魅力、あざとさが魅力の先に立たないようなテイストの人がいい。

となると、モックンと内田也哉子夫妻に演じてもらうのも良かったかも。

今って日本でセヴェニー的な人って誰なんだろ。

またはそういうハイセンスカップルみたいな存在。。

あ、でも一人、この人もありかと思いついたのは菅原小春。

彼女はかなりいいな。

美しいんだけど、キリッとしてて従来のベタな女性的な感じや安っぽさがないのが良い。

以上、キリがないのでこの辺でやめよう。


ちなみに映画の感想は・・・

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まあどこまで鵜呑みにしていいかわからん。
史実に基づいているのは確かで、マッカーサーがアメリカやドイツが精神年齢45歳だとしたら、日本は12歳、と言ったというのも本当のことらしい。
だけど、歴史の拾いたい点だけを繋いで線にして見せるときに、どの点を拾うかによって見え方や解釈が大きく変わることもあるだろうから、鵜呑みにはできないけど、この映画の監督は少なくもこのように見ているし、このように見ている人も一定数少なからずいるのだろうということは勉強になった。
つまり、日本はとにかく独立の体裁を保つために、そして国民の精神的な支柱である天皇の威厳を守るために、武力をもたない、という憲法の条項を飲むしかなかったと。
そして、とにかく独立さえすれば、いつか憲法は変えられる可能性がある、でもそれは生易しいことではない、という意見とか、独立国とはいいながら完全にアメリカの属国みたいな条件から逃れられないとか、色々意見はあったけど、でもとにかく戦争に負けた以上、日本は抗う術がなく、「じゃあ天皇が極刑になってもいいんだな」というようなことを持ち出されたら最後、飲むしかない。
そういう話。
先日見た「日本の一番長い日」が終戦までの話としたら、こちらは終戦から独立までの話。

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Netflix 韓流ドラマ花郎 最終回感想 [映画メモ]

結局、ジデイが可哀想すぎて、あと最終話を残すのみだというのに続きを見れてなかった花郎。

ジディが王になれなかったらどうしよう。。

そんな結末見たくない。

でも、ここまできたら結末まで見届けなければ。

でも怖くて見れない。。

そんな状況を私、ショボい方法でクリア。

それはなんと、ショックの少ない方法で結末をなんとなく知ってから見る、という手法。

つまりネットで、最終話のあらすじと感想をブログにあげている人がいたので、それを目隠しした手の指の隙間から恐る恐る見るような感じで目にして、、どうやらジディ王になるっぽい、、かも??

というところから勇気を出して、あらすじを読み、安心してから、最終回をやっと先程見たのだった。

あーよかった。

ジディ王になれない流れだったので、最後、王になれただけで大安堵で大満足。

が、よく考えてみると、ジディが王になれるのは、たしかにものすごい大どんでん返しで、すごいスリリングでドキドキさせられたんだけど、、秀逸な筋書きかと言われると、ちょっと無理あったかなと。

大どんでん返しをさせたいばかりに、最後の数話くらい、ジディが王になれない流れに寄せすぎてたので、最後あの流れで王になれたのが無理矢理感かも。

もうちょっと、なれるのか?なれないのか?!どっちに転ぶかわからない、くらいの流れできて欲しかったなぁ。

ソヌとジディで、実はすでにジディが王になる方向で口裏合わせていて、ジディの政敵であるパクヨンシルを謀反の罪で討ち取るために、世間の目を欺いていたんでした〜!

という種明かしがされるんだけど、いやいや、つい前話まで、全然ソヌ、王になる気満々の言動を世間の目を欺く目的じゃないところでも繰り返してたじゃんか!

ジディとも、次会う時は敵同士、袂をわかつ!みたいなこと言ってたのに、辻褄があわなくない?

考えを途中で変えたの?としたら、何が契機?

それに花郎の先生みたいな役の人。

ジディには王になれ、覚悟を決めるだけだ、みたいなことを言って応援しておきながら、ソヌにも謀反をけしかけているようにも聞こえ、、まぁどっちでもいいと思ってたのかもしれないけど、、なんだか良くわからなかった。

それに、ソヌはジディを選ぶ理由があったとしても、ほかの花郎たちは本当に自由意思でジディを選ぶ理由があった?

ソヌがジディを押すからついてくことにしたって感じ?

都の流行歌もよくわからん、ソヌは王の中の王、ジディは花郎の中の花郎って。

ソヌが王様らしい、という噂が広まったのはわかるとして、ジディってそんな花郎の中の花郎、みたいな評判ありました?

さて、でも、パクヒョンシクの若き薄倖な王様姿、本当に見事なほどハマってたな〜。

世を偲んだ普通の貴族の子息みたいな格好もハマってたけど、さらに王様の装束を着ている姿は、ずっと見ていたいほどに素敵にハマる。

これ、パクソジュンだったら、どうしても、粗野な野のリーダー感が出てしまって、武将とかならいいけど、王族の、この気品、格の違いみたいな感じは出なかったよなと思う。

ま、ソヌも王族の血を半分引いてるって話になるわけなんだけどもさ。

パクヒョンシクは、あの装束を着ていない現代人の格好をしてるとイマイチに見えてしまうほど。

BTS のキムソクジンも王子様みたいなルックスを言われてるけど、パクヒョンシクもジンに少し似てるもんね。

似てるけど、さらに甘くて端正で固い印象がある顔だからなのかなあ。。

でも鼻先だけつまんだような鼻は整形?とも思える。

まぁドラマ見てると、鼻が不自然な俳優女優だらけで、さすがやっている人だらけだなとは思ったな。

でもま、面白かった!

花郎は、始終、ジディの肩を持ちながら見てしまった。

ほかのキャストもいい味出してたよね。

プレイボーイなのに、なぜか母親ほどの年齢の太閤に想いを寄せるスホとか。

女に興味なかったのに、スホの妹に一途にアタックされてるうちに、しっかり素朴に好きになっちゃう奴とか。

きっと時代考証的に見たり、時代劇としてみると、いろいろ文句はありそうな気がする。

王様の護衛がパオ?だけとか手薄すぎじゃない?とか、、。

まぁでもライトなエンタメとしては、全然でしょう!

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Netflix韓流ドラマ花郎の感想 [映画メモ]

つまらなそうかなーと思ってたんだけど、意外と面白くてハマってる。
私にとっては梨泰院クラスに続く韓国ドラマ2本目。
私的には梨泰院クラスより面白い!
といってもどちらもパクソジュンが主人公で、下剋上スタイルにカッコいいところを全どりしていくっていうところは同じ。
そして今回は、キムテヒョンとパクソジュンがいるので、全然見たことがない顔の人たちばかりよりは興味を持って見やすいというところもあったかも。

しかしパクヒョンシクという俳優さん演じる王様が可哀想で見てられなくてね。
梨泰院クラスでも、ヒロインに横恋慕する係の男の子が、この人と似たルックスで、しかも三角関係での立ち位置も似てる。
どちらも、ヒロインはパクソジュンに夢中で、横恋慕係のキャラには全く眼中にないのよね。
それで主人公カップルの恋愛がどんどん盛り上がっていく甘い展開と、それと同時進行で、彼がそれを目撃して心を痛めたりする様子を執拗に描写していく。
その残酷ぶりたるや、世界は残酷なんだからってミカサに言われてるかのよう。
これは日本のドラマではあまりない気がする。三角関係でどっちに転ぶかわからないような、ヒロインの心が行ったり来たりする感じならわかるんだけど、ヒロインはもう一途に心が決まっていて、結果はわかりきっているというのに、ずっとドラマの間中いたぶられるために出てくることはないよね。
それなりに他に相手が現れたりして、そこまで残酷な世界にならない配慮がされる気がする。

というわけでパクヒョンジュンに恋愛の勝ち目がないのは明らかなので、せめてパクヒョンジュンは恋愛は実らなくても、立派な王となる方向に日の目が見られれば、バランスが取れると、そちらを期待して見ていたんだけど、どうやらそちらでも、パクソジュンに王座をも奪われそうで、ほんとうに可哀想になってきた。
可哀想すぎて見てられなくなった所で一旦休憩。

勝ったものが全てを手に入れる、というのが韓国ドラマなのかなぁ。
でも梨泰院クラスでも、最後、恋に敗れた女の方は、都合よく現れたイケメンと恋の予感!?みたいな感じで終わったから、最後の最後まで見ればパクヒョンジュン演じるジディにも救いがあるのかもしれない。

しかしやっぱり韓国人の美的感覚は日本人とちょっと違うんだろうなぁと見ていて思う。
パクソジュンが、完璧な美形!という設定なのだが、やっぱり日本人からすると、ちょっと微妙な顔で、スタイルは良いんだろうけど、カッコいいー!って感じは私からするとないのだけど、韓国では主役顔なんだろうな。
まぁ顔だけじゃない、役者としての華、ということだとも思うけど。
例えば日本でいう綾野剛みたいな。
綾野剛やら浅野忠信がすごくハンサムだとは誰も思ってないけど、色気や雰囲気があって一世風靡したもんな、ああいう感じなんだろうか。

でもって、横恋慕係の顔の系統が一緒なことを考えると、アレが韓国でいうところの、甘い王道ハンサム顔なんだろうな。芝犬的な。
ひたすらヒロインの、イケメンに思われてるけど、主人公を選ぶ、という、その咬ませ犬係としては、王道ハンサム顔が選ばれるのだろう。
で、その顔も、たしかに日本人からしても、好感が持てる顔。
でも、やっぱり日本の王道ハンサムとはちょっと違くて、ちょっと薄い顔だよね。
かといって韓国に濃い顔の人がいないかというとそうでもなくて、濃い顔の人も結構登場してるんだけど、3番手、4番手という感じの役柄。
ちなみに一番顔がカッコいいと思ったのは、太閤の手下。マンムンを殺めた奴。
大体、手下の最強剣豪みたいな役柄がみんな、腹が深くて二重の目力あるタイプで、その辺の顔の方がやっぱりしっくりくる私がいる。

ちなみにキムテヒョンは、ミュージックビデオの演技見てるとすごく演技力があるし、顔がわざとらしいアイドル顔ではないからすごく映画にハマるのでは?、と思ってたんだけど、実際ドラマで見てると、まぁ普通に思えた。

ドラマでは、メイクも薄いからね、メイク薄いとなると、顔も特別かっこよくないし。
テヒョン演じるハンソンは、脇役なので、正直いてもいなくてもいいキャラというか、主人公がいかに慕われてるかとか命を狙われてるかとか、どんな噂を立てられてるかとか、貴族でも身分制度に翻弄されてる様子とか、そういうのを見せるために存在する感じだからなぁ。

でもストーリーは結構面白い。
顔を誰にも知られていない悲劇の王様が、どうやって世に出るかもがく話なんていうのは、私は初めてなので、既視感とかもないし、そんな中で王を名乗ったもんがちみたいな状況が生まれ、、いやどっこいもう1人正統な王位継承者が?みたいな展開とかね、なかなか楽しい。

そして梨泰院クラスよりいい点は、ヒロインかな。梨泰院クラスはヒロイン像が男に都合がいいヒロイン過ぎて好きになれなかったが、花郎のヒロイン、アロちゃんは好感が持てるキャラ。
それに、ちょいちょい見も知らぬ王様に同情を示していたりして、身分を隠した王様がそれに心を揺さぶられて惚れていくのもわかる設定というのは、梨泰院クラスでは随所に見られる、ただ可愛いから好きになったみたいなんよりはいいかな。



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映画「日本のいちばん長い日」(1967)感想1 [映画メモ]


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なんで今まで見なかったんだろうなあ。Netflixでたまたま見つけて見始めたので、Netflix様様なのかもしれないけど、大人になった、成長したというところかもしれない。

あんまり変わらない自分だが、このあたりのことへの興味は、若い頃よりよほどある。


原作者の半藤さんは生前、それなりに顔をあわす存在だった時期もあり、著書なども知ってはいたが、特に興味がなく手にとることもなかった。


さて今見ている最中なのだが、もう激烈に面白い、というか、興味深い。

なんども見たいだろうな。


まずノンフィクションが最近は好きなのだが、可能な限り史実に基づいた映画、歴史的な勉強という点で非常に面白い。

さらに24とか、アルゴみたいな、鬼気迫るスリリングさ。

人間ドラマ的な意味でも、政治的な駆け引きとか、そういう意味でも。

そして、1945年の出来事を、ほぼ20年後の1967年に公開しているわけだけど、1967年というのが既に歴史的な古さなので、当時の俳優さんの演技とか顔とか、そういう意味でも面白いし、当時の人たちの終戦時の認識の表れもあると思うと二重に面白い。


そして、実際、この終戦の日というのは、日本の大人として、ちゃんとなるべく理解しておくべきことのような気がする。

本当は終わり方じゃなくて、いかにして開戦し、いかにして・・というすべてをちゃんとなるべく知っておくべきなのだ。

なのに、なんで今まで私は・・と思うと、多少は成長して部分もあったのかもと思うし、コロナで時間があるから、ということだとしたら、少しはこの生活に意味も見出される。


ちなみに千葉真一の顔の迫力すごいなあ。

このころの銀幕スターって、みんな縄文的な濃い顔の人が多いな。

その一方で、井田さんが、柳葉敏郎をちょっと美形にしたような少し一重っぽい顔なのだが、セクシーさが目立つ。

井田さんは、高橋悦史という俳優さんらしい。


しかし千葉真一が陸軍大臣で、会議中ずっと、日本刀を持っているのも面白い。

千葉真一というのは、私的には中村珠緒の旦那さんだったということでしか知らなくて((珠緒の旦那は勝新太郎だった、何をアホな・・・でもそれぐらい千葉真一について知らないよな・・・)、演技をしているのをちゃんと見るのは初めてのような気がする。

っていうか、最近亡くなったのか・・・。

息子が、ゴードンとマっケンユーで、外国で日本と言えば「ソニー、千葉」だった時代の、千葉か。。


さてそして、まだ映画は今中盤なのだが、とても切ない。

陸軍は、犠牲者がたくさん出て、今も前線で戦っていて、その中で、おめおめと戦争をやめるなんて言えないというその気持ちはわかるし、天皇陛下が終戦を決意された気持ちも、その裏で今日も特攻にいく10代の若者たち、まだ何も知らずに彼らを日本の旗を振って送り出す民衆たち。。


続きはまた。



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「大豆田とわ子と三人の元夫」最終回とビッグバンセオリーと2021東京オリンピックの感想。 [映画メモ]

最後まで見終わって思うこと。


まず、松田龍平の色気がすごいっていうこと。

なんだろう?別にそんなに顔が整っているとかいうわけでもないし、もともとGOHATTOだっけ?で、15歳くらいでデビューした時も、色気がすごいみたいな取り上げ方をされていた気がするから、そもそもなのかもしれないけど。


ただの横顔ショットとかなのに、色気が感じられるのはすごいなー。

役柄もものすごくモテる人の役なのだが、きっと現実でもそんな感じなんだろう。

色気といえばの斎藤工が出てるのに、斎藤工よりすごいのがすごい。

斎藤工には、甘さがあるぶん、どっか胡散臭い感じとか、安っぽい感じもあるんだよなあ。


さて、あと思うのは、最後の風吹ジュンの語ることによって、結局、どういう生き方も選択の結果で、人間にはいろんな面があって、全部本当であり、その当時、そのひとにとって一番選ぶに値する選択として選んだ結果の人生だったんだから、あってたんだよ、みたいなメッセージが結論になっててよかった。


なので結婚して離婚したことも、それでチャラになって何も残らないわけではなくて、全然あとに残る豊かなものがある。

さらに一度も結婚せず、恋愛もせず、ひとりで死んでいったかごめちゃんの人生も肯定されている。

もてもて松田龍平の思い人がかごめちゃん、というのが、最大の肯定。


かごめちゃんのセリフもなかなかよくて、恋愛のすばらしさもわかるし、人のぬくもりのすばらしさもわかるし、、恋愛がいらないというのがさみしい考えというのもわかる、でも恋愛はめんどくさい、それが私なんだよ、というかごめちゃん。


社長なんて向いてない、つらい、というとわ子に、それでもできてるんだから、それはすばらしいこと、そういうのを見て小さい女の子が自分も将来社長になれるとイメージできるのが素晴らしいこと、だからやるべきなんだと、とわ子にいうところ。


そしてとわ子が、社長なんだけど、それなりに色んな辛い目にあったり、日々しょうもない目にあったりするコメディ要素がいい。

ビッグバン・セオリーとか、東京オリンピックと重ねるところがある。


東京オリンピックは閉会したけど、開幕するまでの一連の退任劇は、まるで三谷幸喜の喜劇だといわれていたが、本当にもはやシニカルなコメディだった。

でもそんな散々な感じで始まって、開会式もなんだかなーなクオリティで、、それでも競技には、いろんなアスリートの人生をかけた勝負が詰まっているわけで、、そこにはいろんな感動があって、私としてはこのコロナ禍に良質な、感動も与えてくれるエンターテイメントコンテンツが増えて、結果としてよかったと思ってる。

しかも、このコメディと感動とエンターテインメントを世界中の人とシェアできるというのがなんだか大きい気がする。


あ、話はずれたが、ビッグバン・セオリーにしても東京オリンピックにしても、私がなんか勇気づけられたのは、結構ズタボロになっても世界はまだ立て直せるというような希望だろうか。


オリンピックの前だけど、フランスのサッカー選手たちの日本人への差別発言とか、本当に嫌な気持ちになるし、ほかのいろいろなのをふくめた差別発言がらみでは、人種や性別に関する差別意識の根深さみたいなものを痛感して暗澹たる気持ちになる。

世界は残酷だ。

でも残酷な一方で、美しさもあるし、最後まであきらめない姿勢から生み出さされる奇跡的な勝利もある。

日本のメダル獲得数が想像以上に多かったことは、単純だけど、私は日本を卑下しすぎていたように思った。

東アジア人は頭はいいけど、身体能力は若干劣るような感じを持っていたけど、そうやって平均値とか一般論的なことでリミッターを設けてしまうのがよくないと改めて思った。

混血が進んだりもあり、もはや体格的な不利は少なくなったし、もともとバランス能力、俊敏性、正確性、努力できる力などもあるのだろう。


ビッグバン・セオリーだって、主人公たちは、けっこう酷いことを言われたり、酷い目にあったりするのだが、それでも死なないから、一瞬ダメージ食らっても、諦めないから、最終的にはハッピーエンドにたどり着けるのだ。



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Netflix「大豆田とわ子と三人の元夫」の感想。 [映画メモ]

最近、Netflix「大豆田とわ子と三人の元夫」を楽しんでいる。


松たか子と松田龍平といえばカルテットだけど、他でもこの組み合わせみたことがある気がするので、相性がいいとされているのかな。


確かに、二人とも透明感があって、雰囲気があって、このコンビは私も見ていて心地がいい。

特に私はカルテットで松田龍平の良さを理解したんだけど、この作品でも特に松田龍平がいい。


松田龍平を見たさにこのドラマを見ているくらいだ。


さて坂元裕二脚本というのがカルテットと同じということもあって、世界観はかなり似ていて、カルテットのことを思い出す。

カルテットも一見普通の素敵な奥様、品の良い常識人的に見える松たか子の、普通でないのびのびとした魅力と人生が解き明かされていく感じで、松たか子の素の魅力あってのもので、そういう意味でみるとシリーズといってもいいかもしれないくらい。


カルテットのほうが、もっとドラマチックではあったし、あの主題歌のカタルシスのことは、これを見ながら思い出して、カルテット・ロス的な気持ちを思い出したけど、このドラマも、松たか子が歌う主題歌がなかなかよい。


そういえば、松たか子と阿部サダヲの「スイッチ」も最近見たんだけど、あれとも似てるなーと思ったら、あれも同じ坂元裕二らしい。


ちなみに「スイッチ」の私の好きなところは、弁護士の松たか子が、法で裁かれずにのさばっている人については、自ら手を下して殺しにいこうとするところ。


そういう松たか子のふり幅の魅力がいいよね。


あとは大人の片思い、みんな片思い、っていう感じは、カルテットと大豆田は似てるところがある。

最初の夫が好きだったのが、実は自分の親友で、でも親友は恋愛を否定している女で、、で、そんな中、出会って結婚するんだけど、夫の一番好きな女性が自分でないことになんとなく気づいてしまう。

それで離婚するんだけど、10年以上経ってから、何かのタイミングで、その親友が夫の片思いの相手だったことに感づいてしまう。

でも親友にその気は全くなかったこともわかるので、夫を責めることもできない。

そんな中、親友は死んでしまう。


こういう感じは、せつないけど、大人ならこう言う感じのことは結構あることだと思う。

誰もが一番好きな人と結ばれるわけではないしね。

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映画「娘は戦場で生まれた」の感想。 [映画メモ]


娘は戦場で生まれた [DVD]

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記録映像として貴重なんだと思う。

やっぱりニュースを読んだりするよりも、映像で見たほうが理解しやすいから。


アレッポが最初のまだ平和的なデモの段階から、がれきの山になるまでの最初の不穏な出来事として出てくる、反体制派の死体が川から見つかる件だが、字幕だと「死体があがった」みたいな感じなので、せいぜい2,3体かと思いきや、20、30くらいの遺体が・・。


そして「顔を確かめた人から帰って」みたいなアナウンスがされているなか、お医者さんである撮影者の旦那さんがざっと検死してまわって全員拷問を受けて殺されているという、、、まずそこから異常事態なわけだけど、どんどん異常事態がエスカレートしていって、街ががれきの山、戦場となっていき、瀕死の5歳くらいの弟を10歳くらいの兄たちが連れてきたり、、という状況、、そして病院が攻撃される。


語りでは、「国際社会がこんな事態を見殺しにするとは思わなかった。だが誰も助けてはくれなかった」という。


だいたいなぜアレッポが攻撃されているかというと、反体制派の拠点でデモを行っていたら、体制とそのバックについているロシア軍に攻撃されている、ということみたいで、、さらに攻撃されても残っているのは、暴力に屈しない、という意思表明であり、革命、ということだったみたいだ。


私ももう少し、アレッポの当時の事態について勉強しないといけない。

でも、映画だけ見て思ったことは、、、あれよあれよと異常事態が深刻化していくことの恐怖。


ミャンマーと重ねる。

ミャンマーだって、ついこの間まで民主化が進んで、経済発展してきていたのに、突然クーデターが起きて、平和的なデモだったものが、反体制派が殺されていく事態になっていっているけど、国際社会が介入してその事態をすぐになんとかしてくれる、ということにはなってない。


そういうことは他人事じゃないし、明日は我が身かもしれない。

日本だって、きっと第二次世界大戦で破滅に突き進んでいく前夜、みたいな段階があったことを思い起こさせる。

だからといって、不穏になってきた空気の中、庶民にいったい何ができるのだろうか、というのはあるけど、、。結局デモをして、国際社会に訴えたところで、国際社会がどこまで介入してくれるのだろうか、、。


ただ正しさを追求し続けたから、壊滅的に暴力を振るわれることになったとも思えて、抗って殺戮されるなら、暴力の前に屈したことにはなるし理不尽かもしれないが、でも諦めてアレッポを明け渡して難民となってでもみんなで逃げたほうがよかったのではないか、そうすれば子どもたちが殺されることはなかったのではないか、、、そんな考えも浮かぶ。


最後に、結局、アレッポから逃げることになり、その前に「今ここで逃げたら今まで戦った意味がない」というのだが、もう選択肢は残ってない、ということで逃げるのだが、、、。

もしかしたら、デモの頃からたくさんの人が殺戮されてきているから、その人たちの犠牲を考えてしまってのことなのかもしれない。


この映画の最初のほうのナレーションにも出てきていて、「正義のための戦い」「革命のために」「理念のために」アレッポに残ったといっていて、そのあたりが気になった。


わかるよ、人権の蹂躙、独裁政権による殺戮行為、全くもって正しくない。

ただそれに抵抗する正しさ、というのは、結局戦う姿勢になり、子ども達を戦争に巻き込むことになってしまう。

どんな戦争も、やってる本人たちは、正しさとか理念とかに支えられて、正義のために戦っているつもりなんじゃないだろうか。理念とか正義とか言い出したら危険なんじゃないか、と思うところがある。

よく、20代の息子とかがそうやって戦いに行きたがりがちで、50代の母親とかが、やめて!!!と言っているような図式がありがちだけど、実はお母さんが正しいと思うことも多い。

だってその正義って本当に正義なのかといったら、結局、誰かに思い込まされている正義であったり、誰かの駒となって犬死することにしかつながらなかったり、命をかけるに値しない可能性が大だったりするからだ。

革命だ、というとカッコいいし、それに酔えるけど、、勝算があるかはキーだと思う。勝ち目のない戦いだったら、ただの犬死にだし、民主主義国家で、訴えている分には効果があることでも、反体制はあっさり消すで有名な独裁政権下だったら別の戦い方を考えるべきだったりしそう。


母親の正しさというのは、自分の息子に死んでほしくない、という近視眼的な思い、と思われるかもしれないけど、実はお母さんのほうが大局が見えてたりする気がする、、ようは自分の息子と誰かの息子が殺し合ってそれで得をするのは誰か?という。


この映画でも、子育て真っ最中の主人公の女性が、子どもを亡くして泣く母親に自分を重ねるシーンがある。

結局私は、希望は一番そこにあると思った。

人類は共感力の生き物で、どんな人種のどんなお母さんが子供を亡くして泣いていても、それに共感して心を痛めない人はいない。洗脳された少年兵とかだともしかしたらその共感力は低いかもしれないけど、いったん子供を産んで母性をもった人間の共感力はものすごく強い。

けっきょくそれが、戦争を防ぐ一番の抑止力で、平和な世界を築く一番の肝になるんだと思う。



さて、では戦わないことが正しいのか、といえば、、やっぱり侵略されたら死ぬ気で自分の生まれ育った町や誇りのために戦うのが人間じゃないだろうか。とも思う。

戦わなくても蹂躙されて死んでいくんだから、「戦わなければ勝てない」「戦え!」という進撃の巨人的方向性。


ただ一介の街に、ロシア軍が爆撃してくる、とかになるともう勝ち目はないわけで、無駄死にするなら、まず逃げるしかないかな。

この映画に出てくる10歳くらいの男の子がいて、両親と一緒にまだアレッポに残ってるんだが、友達はみんなアレッポの街を出たか、残っていても瓦礫に埋まったり、爆弾に当たったりしてどんどん死んでいく、、でも自分はこの街に残るといって泣いてしまう子がいて、、子どもなりに状況を理解し、両親を理解しようとし、サバイブしている様子がなんとも・・だった。


そういう様子を見ても、正義のためにアレッポに残ることが、親のエゴとも思えなくもない。

主人公たちも、アレッポの外にいる祖父母に、赤ちゃんである娘を託すチャンスもあったのに、娘を手放しがたい一心で、娘を連れて前線を抜けて、アレッポに戻ったりもする。

そして、娘に、将来、私たちのしたことを理解してもらいたい一心で映像を撮った、と言っている。


結局、それらの行為が正しいのかはやっぱり賛否両論な気がするけど、それでもおかげで記録映画を撮って、アレッポで何が起きていたのかを内部から撮影して世界に発信した、という意義は大きいと思う。



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映画「スパイの妻」の感想。 [映画メモ]

「スパイの妻<劇場版>」Blu-ray豪華版

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  • 出版社/メーカー: アミューズソフト
  • 発売日: 2021/03/03
  • メディア: Blu-ray



「スパイの妻<劇場版>」DVD通常版

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  • 出版社/メーカー: アミューズソフト
  • 発売日: 2021/03/03
  • メディア: DVD



以下ネタバレ含む感想。



期待値高かったので、思ったより、、、であり、傑作!とか、完成度高い!!って感じではないけど、まあまあ面白かった。

ただ蒼井優が演じる女のキャラクターはうざくて嫌い。

でもいるよね、こういう女。

というのは解る。


私のまわりにもこういうタイプの子は何人かいる。

そして、自分中心のわがままさ、というのは得てして、自己肯定感の高さと連動してるもんだから、そういう人はある種イキイキしてて可愛いところがあって魅力的にもうつる。

が、まあ傍若無人なモンスターでもあるのだが、、、こと、好きな人のために恋や愛に生きてるの!ってことになると、それが動物的正しさともいえるので、是とか非とかは言い難いところはある。


が、、、、蒼井優は女優さんとしてかなり好きで彼女がいろんな映画で演じてきたキャラクターはそれぞれ魅力的だったりもしたけど、ことこのキャラについては、私には全然魅力的には映らなかったので、そこがこの映画は失敗してんのかもね。

蒼井優のこのキャラに引き込まれたら圧倒されたりしないと、映画としてあんまり成立しないというか。。

逆に蒼井優のキャラにもってかれた、って人がいたら、映画として成功してるんじゃないだろうか。


でも、このキャラクターはある種、ステレオタイプ的な女であり、そこがつまらない。

一捻りあって、夫大好きな可憐で天然なかわいこちゃんに見えて実は、夫よりも世界平和を優先する冷徹な正義の人だったりしたら魅力があるけど。

なので、夫を売るなら面白かったけど、夫大好きで、売るのは甥っていうところがね。。。


甥を売ったり、大胆にやりだすところを、虫も殺せなそうなお嬢様の変貌、女の意外性として描いているつもりだとしたら、浅い。


あ、でもこれでふと突然、進撃の巨人を思い出したけど、進撃の巨人は、エレン大好きなミカサが、最後、エレンを斬るから、そういう意味ではよかったよね。


そういえば第一にどういうこと?と思ったところは、なぜ蒼井優は甥を売ったのか、というところ。

既に夫と甥に疑いはかけられていたから、甥を売れば、甥は夫をかばってすべてを被るだろう・・・それによって、夫は守られるだろう、という賭けだ、というのが蒼井優の表向きの理屈なのだろうか。

でも、そこには、女の浅知恵的な理屈が働いていそう。

たとえば、東出演じる憲兵は、自分の幼馴染で自分に惚れているから、犯人さえあげれば、自分のことを思って、それ以上夫のことまでは追求してこないはず、というような。

そして、「おばさんはおじさんのことを何にも解ってない、何にも知らない」と甥に言われたこと、甥と夫が結託して自分の知らない秘密を持っていること、それに嫉妬して、甥を売って、夫の共犯者の座に自分が座る、というのが真の目的説もある、うん、これはありそうだ。


しかし普通に考えると、甥を売る必然性がわかりづらい。

けど、、これもまた進撃の巨人を思い出したけど、いよいよ目をつけられているとなった時に、ジークが自分の両親を密告して、自分と祖父母を守ったように、自らが密告者になるということは、自らは体制の味方だ、ということになり、そこで尻尾切りができるというものなのだろうかねえ。


で、密告したうえで、さらに「売国奴になるなんてありえない。私がスパイの妻呼ばわりされることになったっていいっていうの?!」と言ってたのを急に手のひらを変えすように、突然、夫と一緒に日本軍の所業を世界へ告発しようと言い出す。

満州で撮影されたフィルムを見て、考えを変えた、という設定なんだろうけど、、、かなりの180度転換。

そこもちょっとびっくり。

ただこれはまあ、この女の価値観の第一に、「夫と一緒にいること」があることを考えれば、この転換はそれほど不思議ではないのだが。。


さて、思うところはあともう一つ。

史実として、とてもセンシティブなものを扱っているので、、その場合は、ドキュメンタリーとして完全に史実に基づく作りにしない限り、主観で描くのは取り扱い注意だな、と感じた。

その決まりの悪さはある。


まるでこの映画は、アメリカの原爆投下への流れを肯定しているかのように捉えられ兼ねないのが気になった。



つまり日本軍が間違っていると思っている、軍国主義に毒されてないインテリ日本人は当時間違いなくいたと思う。でも、そのために米国が参戦して日本を打ち負かせてくれれば良い、とまで思う考えは本当に当時、コスモポリタンを自称するようなインテリ日本人の間にあったのだろうか。

史実としてその辺がわからないので、もやっとする。


戦争に負けるということが何を意味するのか、当時のインテリ日本人がわかっていなかったとはちょっと想像しづらい。もちろん原爆投下されることまでは想像に至らなかったにしても、本土決戦になり多数の民間人が死んだ上に植民地化されることは想像に難くないはずで、そうなったら人権もクソもなく奴隷のような扱いになる、、そのあたりまでは考えられたのでは、と思うと、いったん戦争に至ってしまった以上は、勝つしか選択肢はない、というものではなかったのだろうか。。

わからない。金と権力と国際的な人脈がある自分は、戦局がやばくなる前に外国に亡命できる自由な立場、というのがあって、一般庶民の日本人がどうなるかは、自分と切り離して考えていたのだろうか。。


ただそのへんの背景は、小道具扱いであり、メインは蒼井優演じる女のヤバさみたいなところなので、あんまり深追いしても仕方がないのだろうか、、、でも黒沢監督自身が「日本の戦争犯罪を映画にすること」についても一家言どこかで述べていたので、このへんも言いたいことがあったのではないかとは思う。



さて、そのあたりを考えた時に、米国が参戦して・・まで考える高橋一生は本当に米国あたりのスパイだったのかもしれないよね、とも思う。しかも自分の主義主張によりスパイをやってた。


でもスパイにしては、妻に情報話しすぎだし、やむなく話すに至ったにしても、金庫の番号を教えてるのに、そのまま文書を保管しておくとか油断しすぎ。

それを思うと、やっぱり本当にスパイではなく、ただの偶然に関東軍の真実を目撃してしまった正義の告発者だったのかもしれない。



さて、この映画の良かったところ。

高橋一生のキャスティングかな。スマートに立ち振舞うけけど、心の奥底で何考えてるのかよくわからない男、というこの設定にぴったり。

蒼井優が、この時代の若奥様っぽくやろうとして、若干わざとらしくなりすぎてるのに比べると、高橋一生のほうは、そこまでわざとらしくなくて、昔の人にも見えるけど、どの時代での通用しそうなニュートラルな演技がよい。

あと、最後、蒼井優をまいていくところね。

これは期待通りだった。

そもそも本当にスパイだったとしたら、絶対にうまいこといってまいていくよね。


さらに、スパイじゃなかったとしても、英語が喋れる甥と違って、足でまとい感が半端ないし、「あなたのために私こんなことをしてあげたの!」っていう勝手な行動がウザそうだし。

そもそも、上海にいる英国人の友人にフィルムを預けていて、それを取り戻すために金払えと言われている、、とかも、妻をうまく利用して旅行準備のカモフラージュに使ったり、挙句に妻をまくための夫のウソだったんじゃないかと思うもんね。


ただ一方で、妻を愛してもいたと思うし、愛しているからこそ、危険な目にあわせたくなくて置き去りにした、というのもあると思う。


とくにスパイだったかどうか、というのは、もう一回見直してみたら、実は発見があって、「あ、そういうことだったのか!」とクリアになる部分があるかもしれない。


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映画「WAVES」の感想。 [映画メモ]


WAVES/ウェイブス【通常版】DVD

WAVES/ウェイブス【通常版】DVD

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • 発売日: 2020/12/18
  • メディア: DVD

久しぶりにツタヤでDVDレンタル。

準新作も110円で10日くらい借りられるという、いい時代になったものだ。


さて感想。

以下ネタバレあり。


前半の主人公である兄が闇落ちしていく様は、最初からフラグが立ちまくりで、見ていられない。

ちなみに町山智弘さんの映画評で、大体のあらすじは知っていたうえで見たいと思っていたので、闇落ちすることは知っていたのだが、彼の話だと、完璧すぎて威圧的な父親のプレッシャーによって、ダメになってしまう男の子、という話だった。


まあ確かにそういう一面もある。

人生、落伍者になったら終わりだ、強者であれ、勝者であれ、エリートコースにのって選ばれし成功者になるのだ、俺みたいに、という教育方針だからこそ、ひとたびそのコースから外れざるを得なくなった時にそれを受け入れられず、誰にも弱音を吐いたり相談することができずに、クラッシュしてしまう、みたいな。


だけど、ただ単に衝動を抑えられない、テンパーなクズ、という側面もあり、そっちの要素が強いと思った。

DV男的な。

DV男がDVを行う背景には、もちろん社会で思うように評価されていなかったりといった、ままならないフラストレーションはあるだろうが、そんなものは誰だってあるのであって、それを理由に自分の思い通りにならない時に、人や物にあたってしまう、というのは、許されるのは幼児までじゃないか。


もちろん主人公は17、18歳くらいなので、まだまだ中身は子どもなのだが、、まったく擁護できない。


闇落ちすることは知っていたが、それと愛する彼女の話を一切訊かずに、暴力と説得で自分の思う通りにコントロールしようとして、逃げられたら、恨みと怒りを募らせるメンタリティーはヤバいやつ。


というわけで、前半は、見ていられない、見たくないストーリーだけど、後半は妹が主人公に入れ替わり、癒しと希望のパートになる。

それが良かった。


兄の一件で家族は崩壊寸前になり、父親は妻(兄妹にとっては継母)から拒絶されるが、その際に、妻から手痛い言葉を浴びせられる。

父親は変わろうとし、今までほったらかしだった娘(妹)と対話を試みる。

そんな父親に対して、妹も始めて、自分の抱えている思い、自分は兄を救えたかもしれなかったのに、何もせずに傍観しているだけだった後悔と自責の念を吐露する。


そして新しくできた彼氏のトラウマの解消に一役買い、その中で自分も、一歩動かなくては、と気づきがあり、はじめて、今までは距離感があった継母にも、手を差し伸べる。

それは、おそらく継母のためではなくて、愛する人を喪いそうになっている父親のためでもある。


そこに希望がある。

いい話だった。


ただなんで題名がWAVESなんだろうか、それはよくわからなかった。

適当に流し見をしていたのかもしれない。



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