映画「WAVES」の感想。 [映画メモ]
久しぶりにツタヤでDVDレンタル。
準新作も110円で10日くらい借りられるという、いい時代になったものだ。
さて感想。
以下ネタバレあり。
前半の主人公である兄が闇落ちしていく様は、最初からフラグが立ちまくりで、見ていられない。
ちなみに町山智弘さんの映画評で、大体のあらすじは知っていたうえで見たいと思っていたので、闇落ちすることは知っていたのだが、彼の話だと、完璧すぎて威圧的な父親のプレッシャーによって、ダメになってしまう男の子、という話だった。
まあ確かにそういう一面もある。
人生、落伍者になったら終わりだ、強者であれ、勝者であれ、エリートコースにのって選ばれし成功者になるのだ、俺みたいに、という教育方針だからこそ、ひとたびそのコースから外れざるを得なくなった時にそれを受け入れられず、誰にも弱音を吐いたり相談することができずに、クラッシュしてしまう、みたいな。
だけど、ただ単に衝動を抑えられない、テンパーなクズ、という側面もあり、そっちの要素が強いと思った。
DV男的な。
DV男がDVを行う背景には、もちろん社会で思うように評価されていなかったりといった、ままならないフラストレーションはあるだろうが、そんなものは誰だってあるのであって、それを理由に自分の思い通りにならない時に、人や物にあたってしまう、というのは、許されるのは幼児までじゃないか。
もちろん主人公は17、18歳くらいなので、まだまだ中身は子どもなのだが、、まったく擁護できない。
闇落ちすることは知っていたが、それと愛する彼女の話を一切訊かずに、暴力と説得で自分の思う通りにコントロールしようとして、逃げられたら、恨みと怒りを募らせるメンタリティーはヤバいやつ。
というわけで、前半は、見ていられない、見たくないストーリーだけど、後半は妹が主人公に入れ替わり、癒しと希望のパートになる。
それが良かった。
兄の一件で家族は崩壊寸前になり、父親は妻(兄妹にとっては継母)から拒絶されるが、その際に、妻から手痛い言葉を浴びせられる。
父親は変わろうとし、今までほったらかしだった娘(妹)と対話を試みる。
そんな父親に対して、妹も始めて、自分の抱えている思い、自分は兄を救えたかもしれなかったのに、何もせずに傍観しているだけだった後悔と自責の念を吐露する。
そして新しくできた彼氏のトラウマの解消に一役買い、その中で自分も、一歩動かなくては、と気づきがあり、はじめて、今までは距離感があった継母にも、手を差し伸べる。
それは、おそらく継母のためではなくて、愛する人を喪いそうになっている父親のためでもある。
そこに希望がある。
いい話だった。
ただなんで題名がWAVESなんだろうか、それはよくわからなかった。
適当に流し見をしていたのかもしれない。
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