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映画[天国と地獄] 黒澤明 感想 [映画メモ]

若い頃、山崎努の大ファンだったのだが、それは自分が若かった故、枯れた渋さに対する憧れみたいなものもあるかと我ながら思っていた。
もちろん唯一無二の素敵さがあった。
インテリで品がいいが、精神の自由さみたいなものがあり、無骨なワイルドさみたいなものもあり、底知れないスナフキンみたいな人。

さて、そして天国と地獄では、若き山崎努が犯人役であることは知ってたんだけど、なんか見てなかったんだよな。

というわけで、見た。
三船敏郎がいいねぇ、ほんと昔の日本の映画俳優の顔の強さ!

それはそうと、こんな話だったんだな。
1963年の映画だけど、人間模様とか、話し方とか、全然古さを感じさせず、普通に見れた。
意外と人間は変わらないんだな。60年前なんてまあ、ついこの間なのかもしれない。

さて山崎勉。
これが、ときめいた。
若くても魅力的だった。山崎努だった。
私本当に山崎努の個性が好きだったんだと改めて思った。
やっぱり、鋭さがある。闇と狂気がありつつ、知性があり、そして軟弱ではない。
癖が強いが、色気がある。
この存在感はやはりそうない。

役柄もぴったりだ。
愉快犯のようなものでありつつ、人の命をなんとも思わない冷徹さがあり、知能犯。
実は病院の貧しいインターン。

しかし終わり方が唐突でびっくり。
これでいいんかーい
という。
でも、この後味の悪さがいいのかも。

殺人犯に対して同情的ではない。
でも、ハッピーエンド良かった良かったという終わり方でもない。

夏は暑くて眠れない、冬は寒くて眠れない、地獄のようなむさ苦しい三畳一間の下宿から見上げる天国のような豪邸。
その格差社会への弱者の逆恨みのようなもの、その切なさみたいなものが一番心に残る。

富士山と江ノ島が見える高台の絶景のロケーションの家で、人が死んでるとか。

薔薇の花を胸にさした山崎努が、外国人の巣窟の怪しい盛り場でヘロインの売人の女と踊りまくるとか。

ヤク中の巣窟で、ゾンビの群れみたいなのの中で禁断症状の女を捕まえる山崎努の鬼畜っぷりとか。

そのあたりは絵が強くて、映画的に面白かった。

身代金を渡すトリックも有名なものらしいけど、わたしは初めてだったので楽しめたし。

三船敏郎の片腕が思いっきりクズで面白いし。

話の筋でいうと、山崎努は、貧しいとはいえ、インターンで、医者になれば、先生として尊敬され、それなりの地位と名誉と金が約束されているはずなのに、なぜ?というところはある。

インターンは多忙なはずで、犯罪の構想を練ってる暇もないんじゃないか。

とはいえ、まあ思うところあって、すでに医者の道に幻滅や挫折を感じていてねじくれていたのかもしれないし、実際そういうインターンはそれなりにいるかもしれないよな。
いや、語学留学に来てた医者がそんなような過去を話していたから、意外といるかもしれないのね。

医者になるまでは、優等生でやってきたけど、いざインターンとして現場に配属されたところで、全然ダメでぼこぼこにされて、鬱になってしまう人が。

というわけで面白かった。
実は黒澤明は、羅生門しか観てない。
7人の侍は見たことはあるが、途中で眠ってしまってちゃんと覚えてない、たしか。
タンポポは見たいよね、やっぱり山崎努好きとしては。
やっぱり見てないんじゃなかったか。
見たとしても忘れてるし。




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