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映画「フェイブルマンズ」スピルバーグ監督作 感想

桐谷さんが2023年のベスト映画ナンバー3にあげてたので、そしてアマゾンプライムでただで観れたということもあり鑑賞。

スピルバーグ監督の自伝的作品、ということ以外はあまり前情報なく観たんだけど。
うーん、ちょっと拍子抜け。
以下ネタバレあります。

お母さんにすごくフォーカスがあてられていてミューズとかファムファタールかな?という感じで必要以上にというくらいに魅力的に描かれているので、マザコンなのかな?
とはいえ、映画を観ると思春期に母を拒絶してた時期もあったみたいだから、愛憎で、憎んでたような時期もあったけど、今こうやって熟年になってみてやっと母のことを心から受け入れられるとか、受け入れていることを自分に納得させたいとか、あらためて人生を振り返ってみて描きたいと思ったのかもね。

なんかちょっと宮崎駿の君たちはどう生きるかに重なる部分がある。
巨匠が人生や両親を振り返る、しかも特に母親という存在を消化したがっている、という意味では。

でも私的にはうーん、、だったな。
ところどころ、どういう意味なのかよく消化しきれてない部分があるけど、まあ物語というか自伝だと思えば、事実は小説より奇なりで、そういうこともあるよねって感じなんだろな。

たとえば、キリストフェチでユダヤ人にあこがれるちょっと変わった女の子をすんなり受け入れて彼氏彼女の関係になり、たった3か月でプロポーズまでするという謎。
まあスピルバーグ自身にそういうところがあったのなら、それだけの話なんだろう。
つまりうぶだったので、初めて告白してきた女の子にコロッといってしまったとか、そういう話なのかな?

あと一軍男子って感じのいじめっ子を、学校行事フィルムの花形として撮影したこととか。
まああれは、映像作品としての品質を求めた結果、華がある映える人を主役に据えて撮影することは当然で、それは私怨に勝るという、芸術のほうが私生活より優先順位が高い、ということの描写なのかな。
でも若干わかりづらくて、うーん?という感じ。

あとは母親が父親よりも父親の親友を愛していることに、キャンプの撮影したフィルムを編集している時に気付くという筋なんですけど、視聴者はもうほとんど最初っから、はじめにその男が登場した時から気づいてるわけです。

妙に母親がその男に対して好意的で、父親はいつも置いてけぼり。
不穏というか違和感は初めからする。
なので、両親はポリアモリーで、男2女1という関係性で家族みんな合意を得ているんです、という描写なのかなと思ってたんだけど、実際はそんなことがなくて、父親は自由奔放な母を愛しているので丸ごと許容しているだけで、別にそういう明示的な合意があるわけでもなく、それを知った子供たちは普通に大ショックを受けるし、母親も違うの、誤解しないで、とうろたえるということにびっくり。

まあなんか辛い三角関係だよね。
描写が本当なら家族でキャンプにいっても、ずっと母親とのその男が二人でカップルのように一緒にいるのに、父親にとっても唯一無二の親友で仕事上でも片腕だし、子供たちも彼になついているし、ただひとり父親だけが耐えている。

母親も、常に自分が主役という感じで、子供たちよりも自分が常に話題の中心で、注目の的でいたがる。

まあでもね、そんな母親にもいいところがあって、映画をとりなさいっとサポートして、スピルバーグの才能をほめたたえて、、というようなところはあったんだよね。

常識にとらわれるお母さんじゃなかったからこそ、そして息子を手放しに肯定する育児方法だったからこそ、スピルバーグの才能がのびのびと早熟に開花したところもあっただろう。

あとこの映画の良かったところは、子供のころから映画をつくって学友たちを沸かせてきたスピルバーグでも、ハリウッドでチャンスをつかむのは容易ではなくて、まだ何者にもなれていない時期があったということ。

でも私は何者かになっていく、成功の階段をあがっていく様子を見たかったし、スピルバーグの自伝といったら当然そのあたりが出てくるのかと思いきや、全然その前に終わったのが、拍子抜けで残念でもありつつ、スピルバーグの狙いだったのかもね、とは思う。

成功前夜までの、ただ普通の子どもとして当たり前に家族や両親や学校といったものに揉まれながら育った、でもその中でいろんな経験をした、それが全部彼のその後の作品や作品作りのヒントに繋がってるんだよってことなんだろう。

たとえば最後に映画監督に「地平線が絵の上か下か真ん中か、どこにあるかがその画がつまらないか面白いかにかかわる重要な部分」というたった一つの示唆をもらう若きまだ何者でもない大学生のスピルバーグがいるんだけど。

それに通じることなんだろう。
この映画は、「地平線は上か下にあるべきだ」みたいな、はあ?というような小さなことだけど、そういうことが全部のちのちの人生や作品につながる重要な示唆だったということで、この映画も一見、はあ?っていう感じだけど、ここからいろんな示唆を得られる、観る人が観れば、という感じなんだろうな。

だけど私からすると2023年のベストスリーではないな、確実に。
別に「なんだかな」ポイントがあった、というほどでもないんだけど、何かすごく心を動かされるポイントもとくになかったんですよね、わたくしには。
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