タイ現代文学「鏡の中を数える」読後感想。 [読書メモ]
今日2022年の芥川賞の発表があって、以下のニュースを読んだんだけどさ。
そうよねーって思ったのが、今日とばし読んだ「鏡の中を数える」がなんかなーって思った一番のポイントは、「書かれるべき切実さがない」ってことなんだよってことだった。
あとがきを読んで、1973年生まれの著者がとても日本が好きで、本作も日本を旅している間に、銭湯とか新幹線の中で構想がまとまった話もあるし、本当に文化的にも影響を受けてるんだろうなということはよく伝わってきた。
窓際のトットちゃんとか、日本食レストランとか、日本のトイレとか、日本人女子とか、日タイハーフの男とかも登場する。
文体やらも、村上春樹を意識してるのかなーという感じがした。
だけど、中身あるのかな?
ちょっと面白いなと思う短編もあった。
30代の男なのに、突然道でオバサンにお父さんこんなところで何してるの!という、徘徊ぼけ老人75歳の扱いを受け、そのまま家に連れていかれて、すごく美しい高校生の孫設定の子がいて、、なんかそれもいいかなという感じで、以来、娘と孫と暮らす75歳のおじいさんとして過ごしている、という話。
面白い、なんかカフカみたい。
だけど他の短編もちらほら読んだけど、全然心に刺さらないし、結局何が言いたいのかわからなかった。
ただパンツ履いてないだけの女子が主人公だったり、「お母さんと肉まんとどっちが重要なの?」と冗談で息子に言ったら、「重要かは問題じゃない。お母さんは重要だけど、美味しくはない」と返事されて、なんかショックを受けるお母さんの話とか出てくる。
これが何かのメタファーなのかもしれないけど、それは伝わってこないので、ただのなんちゃっての意味ありげにカッコつけただけで、実際ぺらぺらで特に意味のない奇妙風な話にしか私には伝わらなかった。
村上春樹は違うじゃん、ちょっと奇妙な話でも、なんのメタファーか伝わってくるし、絶対に胸に刺さる。
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