チャイニーズ・ブッキーを殺した男 [映画メモ]
チャイニーズ・ブッキーを殺した男 (オリジナル完全版) HDリマスター版 [DVD]
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- メディア: DVD
監督は、ジョン・カサベテス。
見た事があるのは、グロリア、アメリカの影・・フェイシズは微妙。。
こわれゆく女は、たしか怖くてみてない。
カサベテスの映画はかっこよいし、素敵だし、心にくるし、よかったことは覚えているが、
実のところ、あらすじに関してはすっかり忘れてしまってたりする。
ああ、でも今、アメリカの影は、あらすじを読んで思いだした。
とっても心をつかまれる映画だったな。
まだ映画を見始めたばかりの18歳くらいで見たから、
これは大人になった今、また見たい。
それはそうと、今回見たのはチャイニーズ・ブッキーを殺した男。
題名がどうにも微妙だったからか、
見ていなかったので、時間があった昨今見てみた。
ああ、こりゃさすがだね。
なんなんでしょうね。
見始めて数分で、心地よさに包まれる、洒落た撮り方。
詳しいことはわからないけど、一流感がすでに漂う。
で、中身ね。
男だね、コズモ。
ふつうのおっさんで、特に粋がってるわけでもないし、特別何かに恵まれているわけでもなさそうだ。
弱い人間ではないが、特別に強い人間でもない。
だがかっこいい。
なぜなら、自分の店や部下たちや仕事を愛していて、誇りを持っているから。
ふつうのおっさんがかっこいい。
そういう風に撮ってる映画は、かっこいい。
色々そんなに多くは説明されないし、どうなっちゃうんだろうな~と、ボーっと観てくわけですが、
最後に、店の女の子を指して、「あの子は能天気なふりを演じてるけど、本当に能天気なわけじゃない。
そうやって、お客の望むすがたを演じて、楽しませてる。俺たちはどんな人間だって演じられる。
そしてお客を満足させて、楽しいじゃないか。」というようなことを、語る。
いい男だ。
彼は女の子たちに慕われているが、結局そういういい男だからだ。
彼が経営するのはクレイジー・ホースという、ストリップバー?みたいなところ。
店自体はいかがわしいもんだ。
だけど、彼は女の子たちの内面をしっかりと尊重し、一人ひとりをちゃんと敬愛している。
彼が女の子たちを商品としか見ていなかったら、もしくは客と同様のいやらしい目でしか
見てなかったら、彼女らから慕われることはありえない。
そして、どんな商売でも付物である、やるせなさ。
プライドややりたいことと、求められていることのギャップに、仕事がイヤになることは誰でもあるだろう。
その気持ちによりそい、救い、はげます言葉。
どんなふうに思われてたとしても。
お客さんはそれで、一時の満足を得て、またきびしい現実に帰っていくのだ。
その満足を、俺たちは上手に化けることで、提供してあげてるんだぜ、と。
これは、いい男ってなんなのか忘れちゃったときとか、素敵な人間って何なのか忘れちゃった時とか、
仕事に疲れたときにオススメの素敵な映画ですな。
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