SSブログ

韓国ノワール映画 哀しき獣 感想。 [映画メモ]

韓国ノワールと言っていいのかな。
たぶんいいんだろうな。
歌丸のラジオで紹介されてて、Amazonプライムで無料でら観れるので観た。

2010年だったか、10年くらい前の映画。
結果見てよかったと開始1秒で思った点はまず私は無知で、朝鮮族とは何か今まで理解してなかったし、中国に朝鮮自治区があることも知らなかった。
ようは朝鮮族とは、中国の中の朝鮮系民族の自治区に住む、朝鮮系中国人のことをさしていて、朝鮮民族というのとは少し意味合いが違うのだがわかってなかった。

でもって、韓国語を話すのだが、もはや都会のソウルに出稼ぎにやってきたりすると、中国の山奥から出てきた感じの彼らの服装の違いとか、発音の違いとかで、韓国人からしてみたら「朝鮮族か」って感じですぐわかるらしいし、差別の対象になったりもするらしい。

やっぱり言うても中国人だし、みたいなのがあるのかしらん。
そもそも中国には結構色んな民族がいるというのは朧げに知ってはいたものの、中国の国籍には、国籍だけじゃなくて民族も、モンゴル族とか、朝鮮族、ウイグル族とかというように登録されるんだと。

そして朝鮮自治区はなんで朝鮮族が住んでるのかというと、、話せば長くなりそうなエリアみたいだけど、最も近い時代の話としては日本統治下の満州だったエリアで、その時にたくさん朝鮮人が移り住んだらしい。

その辺のことを知らなかったので、知れてよかった。まずそこは大きい。

次に内容。いや面白かったよ。
朝鮮族の主人公が、借金を返すために、韓国に密入国して、見も知らぬ人を殺して帰ってくるミッションを引き受ける。
ついでに韓国に出稼ぎにに行ったまま送金もして来ず連絡もつかなくなった女房も探す。
という話なんだけど、いやあ中国の貧しい感じがリアル。そこから、バスと列車を乗り継いだあとに、密入国業者の手によって貨物船だか漁船だかの船底とボートで、海を渡って密入国する、その描写のリアルなこと!
海に突き落とされるようにして、別のボートに載せ替えられたりする様がね。。
そして韓国に渡ると、それなりに都会で、ちゃんと中国の自治区との違いが感じられるのがいい。

あとミン社長だっけ?が、ヤクザの親分みたいな感じなんだけど、強いんだな、めっちゃ。
別にギャグ要素は無いんだけど、不死身かってくらいにどこまでも走って追いかけてくる姿はターミネーターみたいで、笑えた。ほかの人の感想とかみても笑うところだったみたい。
ロバートの秋山みたいな風貌でね、いやよかったし、やっぱり当時、人気キャラだったらしい。
カーチェイスや血みどろの殺し合いは多いけど、それはなんかそういうノリで笑って楽しむエンタメとして観れたね。

さらにネタバレをすると。
この先ネタバレ失礼しますが、、
悲惨なんだよ。ハッピーエンドではない。
主人公は死ぬんだけど、その死に様が私は好きだ。
八つ墓村だっけ?湖に両脚が突き出してるビジュアル。あれを彷彿とさせるような、、ってまあだいぶ違うか、猟奇的ではないんだけど、なんか海にポツンと死体とお骨の箱って、私には詩的で強烈なシーンに感じられてよかった。

対比がね。
あれだけ激しく殺し合って生き抜いてきたのに、最後は呆気なく静かに死ぬんだ。
それにあんなに苛烈な殺し合いが何のため?と考えると、非常に馬鹿ばかしいことのためなわけ。

そもそも金のために殺人をおかしたけど、ハメられて使い捨ての鉄砲玉にされただけで、依頼者には、金を払うつもりなんてなかったし、故郷に帰してやるつもりもなかった。

しかもその殺人も非常にバカバカしい動機による殺人で、ただ人さまの不倫とかなんだよね。

しかも自分の嫁も不倫してた挙句に、不倫相手に殺されたみたい。
そもそも借金のもとになったのは、嫁の韓国へのビザ代金。

全てバカバカしい、そして人知れずあっさり死ぬんだ。
その対比によって、強烈な生の瞬間があったことが浮き彫りにされてなんか愛おしい気持ちになるんだ。

最後のシーンはよくわからない。
嫁が中国に帰ってきたシーンにも見える。
つまり嫁を信じて中国で待っていれば、いずれ嫁は帰ってきたのにって話だったのかもね。
それもまた、切ない。

けど、そうじゃなくて、ある種の幻影、死者の願望、結局嫁が帰ってきてくれることを夢見て望んでた、、死んだ時に、最後の走馬灯的に願望が叶う幻想を見たっていうふうにととれる。
どちらにしろ切ない。



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Free xml sitemap generator