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上を向いて歩こう。いまさら。 [音楽メモ]

哀しみや孤独が根底にありつつも、懐かしくてあたたかい、でも押し付けがましくなく、美しい。

「上を向いて歩こう」を聞いて泣いてしまう私は、よくも悪くも大人になったんだと思う。

スタンド・バイ・ミーのベン・E・キングの「日本の人を元気づけたい」という日本語による震災後カバー。

sukiyakiとして4pmがカバーしてヒットしてたよね・・というのが世代的には、私の一番の印象。

もちろん坂本九の原曲は有名だから知ってはいたけど、「幸せなら手を叩こう」と同じで能天気な歌だと思ってた気がする。

もしくは「いつも前向きでいなさいね!」みたいな、うっせーなーっな説教くさい歌かと。

でも大人になって、震災を経て、今聴くと全然違う曲だったことに気付く。

でもって最近初めて知ったのだ、坂本九の日本語で歌った原曲が1963年に、かのビルボードで3週連続1位を記録するほど世界的にヒットしてたことを。

もちろん「sukiyaki」とかになっちゃってるくらいだから、海外でそこそこヒットしたんだろうとは思っていたけど・・そこまでだったとは。

でも今ならそれもうなづける。

だって名曲だもの。

そしてその良さが、言葉の壁を超えてダイレクトに伝わるのが、音楽の本当に素晴らしいところだなあと、改めて思ったし、世界の人へ伝わるんだっていうことに、とても勇気をもらった。

メロディの美しさと、歌詞の良さはまた別物という考え方もあると思うけど、不思議と名曲というものはそれらがちゃんと融和してるもので、メロディ聞いただけで大体の歌詞の内容というか歌の表現している感情というのはちゃんと伝わってくるんだよね。

最近、好きな英語の曲、実は歌詞の意味を全然解ってなかったのだけど、調べてみたら全然想定の範囲内で逆にびっくりした経験が何回かあったけど、結局「上を向いて歩こう」も、そうなんだろうと思う。

そしてこの曲の表現している感情はとてもシンプルで、普遍的で、どの国の人でも理解できるものなんじゃなかろうかと思った。

あとやっぱり名作なのが、人をちゃんと救い上げる力があるところだよね。

ただ甘ったるい感傷に浸らせるだけでもなく、夢を語って現実逃避させるのでもなく、それでいいんだよと現実肯定して骨抜きにするのでもなく、暴力的に叱咤激励するでもなく。

人の痛みに寄り添いつつも、人生には光もあることを思い出させ、しょっぱい現実をしっかり受け止めて地に足つけて歩いて行こうという力を与える。

いい本とかと一緒だ。 

これ、医療とか救助とか食品とかと比較して、有事の際には何の力もない・・・と、誰もが音楽の力の限界を感じたあとのアンサーソングに成りうるというか、、、そのもっとあと、二次的・三次的にじわじわと人を襲うものには、ちゃんと力を発揮するという、芸術の理想的な姿よね。


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