地獄でなぜ悪い、神様はバリにいる、俺はまだ本気出してないだけ [映画メモ]
ちょっと緩い娯楽作も観たくなって、ふとアマゾンプライムで「神様はバリにいる」を観てしまったら、堤真一の
怪しい中年男の演技がかなりよかった。
ちなみに「神様はバリにいる」は意外と期待してたよりも、筋がしっかりしててなかなか良作でした。
正直、本物のアニキ(丸尾さん)の教えは、時々目や耳にするけど、あんまりぴんと来たことがないんだけど、この映画ではちゃんと納得感がある教えだけをフィーチャーしてる。
たとえば「苦しい時こそ笑い飛ばせ。しけたツラしてたら爽やかさがなくて運も逃げてく」的なことはまあわかるし、「持ちつ持たれつ」的なかんじで、短期的な視野で自分だけ得しよう儲かろうとするのではなく、長期的に見た時に、近所の人や友達、お客さんなど周りの人が幸せになれるように貸したり借りたり、頑張っていけば、長期的にみんなで豊かにになり、幸せになっていける、的なことね。
映画の中の話が本当か、脚色されているかはわからないけど、
バリで成功した理由として映画の中では「バリで売られてるコーラはぬるかったので、冷蔵庫を導入して冷たいコーラを売る商売を始めたら大繁盛した。儲かったので、頼まれるままにローカルに金を貸しまくってたら、無一文になってしまった。でも、中には律義に返済してくれるローカルもいて、金はないが、土地をやるといって、その当時はまだ安かった土地の利権所をくれた。バリはバブルが来たので、土地は急騰し、そこにリゾートホテルやらを建てて大富豪になった。」というわらしべ長者的なストーリー。
まあ実際、バリは土地の値段が急上昇したので、たまたまラッキーな人はいただろうと思うけど、海外で外国人で富豪として恨まれずに仲良く暮らしていくには、現地に雇用を生み出し、学校や病院に寄付をし、といったことは不可欠。
現地に還元しなかったら、外人が俺らの土地を利用してうまく商売しやがって、という感じで妬まれるばかり。
「俺らの土地」で商売させてもらう以上は、「あいつのおかげで俺らも得してる」「いてくれて有難い」という側面がないとね。
というのは、自分の地元を考えてもわかるよね。
そいつのおかげで外国人観光客が増えた、というだけでは弱いよな~、そいつに俺らのところに来るはずの外国人観光客を奪われている、という発想にもなりかねないし、観光資源であるその土地の自然やら文化やらを利用した商売であるわけだし。
さてそれで、緩い中年男を観たくて、あと2作見てしまった。
堤真一には今まで特に興味がなかったけど、いい役者だなあ、割と好きになってしまった。
ダメでちょっとバカだけどなぜか自信満々なかわいい中年をコミカルに演じてくれていいですなあ。
そしてまあ、ちゃんとある種の迫力やカリスマ性的なものも出せるのがいいところ。
しかしながら、今まで完全にノーマークだったな、なんでだろう?
さて、「地獄でなぜ悪い」は、やっぱり園子温節がさく裂してたなー。
だから園子温好きじゃないんだよ!という、私の嫌いな園子温節。俺ワールド全開。
それに付き合わされる感。それはお前のロマンだというのは、ええ、わかるよ。
お前のカタルシスに付き合わされるのねー、またねー、という。
その青いカタルシスに一緒に共鳴できる人は楽しいと思うけど、私はなんかもっと大人っぽいカッコよさをもとめてんだよなあ、なのでやっぱり嫌いと思った。
なんていうの?コルトレーンかっけーなー!!とか、せいぜいジョン スペンサー ブルース エクスプロージョンかっけーなー!!セルジュ・ゲンズブールかっけなー!!!くらいのカタルシスならついていける気がするけど、
浜崎あゆみ好きとかX JAPAN好きとか、ミスチル好き、みたいな、すごくコアなファンがいるのは理解できるし、すごくコアなファンがいる以上、そこに強固な魅力があるのもわかるけど、、、永遠に90年代日本JPOPに固執し続けるやつ、永遠に自分の青春時代に固執し続けるオヤジみたいな。。。
まあそういう風に私には感じられちゃうんだよね。
ちなみに今見ると、殺戮アクションを嬉々として撮影する自主映画の人たち、みたいな感じがちょっと「カメラを止めるな」と似てるなと思っちゃうけど、「地獄でなぜ悪い」が全然先なんだよな。
ただまあ、殺戮アクションと映画製作の映画、という点が似てるだけで、見たあとに得られる感動や教訓、爽快感は全く違うものがあるけどね。
「カメラを止めるな」は超低予算なのに意外性が満載で、かつ最後に超感動できるという、そういう点で傑作だったわけだけど、「地獄でなぜ悪い」は監督が地位と名声を得たのでやりたい放題やらせてもらえた怪作って感じ。
役者はすごい有名人を使いまくってるから、その有名人たちがイキイキと演じてるという部分だけは魅力があるのかもしれないし、血まみれアクションが好きな人はいいかもね。でもストーリーは私は別に面白くなかったわ。
面白いのは、友近の極道の妻役シーンくらいかなー。
それなりの評価を得てるのだとしたら、どういう観点で評価が高いのか知りたいわ。
「俺はまだ本気出してないだけ」。
かなり痛い中年のセリフなわけだけど、どこまでどう痛いのか興味本位で見てみた。
俺って痛いよな、というのは一応わかりつつも、それに負けずにちゃんと夢の実現に頑張ってる中年主人公のメンタルの強さがすごい。
私もいわば中年サラリーマンで、しかも脱サラしたいサラリーマンなわけで、すごい身につまされるわ。
このまま楽しいと思ってないサラリーマンを続けてても人生なんなんだ?って感じだけど、勢いで脱サラして夢を追います~と言い出したら、痛い中年扱いという、どっちにしろなんだよねー。
だから、外野には言わしておけばいいのさ。
親も子も、心配はするだろうし、けなしてもくるかもしれないけど、でも終身雇用じゃなくなったいまの時代、
価値観は多様化してて、大企業勤めがいいという価値観も引き続き存在しつつも、それ一辺倒じゃないしね。
映画としては、もひとつ、というところはありつつも、しぶとく頑張る中年、プライド捨てて頭を下げつつ、でもちゃんと水面下の努力をし続けてちょっとずつ成果を出せてる中年像については悪くなかったかな。
ただまあ、現実にはあんなできた娘いるか?というのはあるし、娘が親のためを思って風俗でバイトするとかは、結構シリアスに親としてダメで、あんな軽い終わりでいいのか?ていうのはあるねえ。
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