カズオ・イシグロのインタビュー。 [メディアまわり]
カズオ・イシグロのインタビュー番組。
カズオ・イシグロの作品はだいぶ前に何冊か読んだけど、ちょっと忘れていた部分もあったので、今回このテレビ番組のなかで、何箇所か細部が紹介されていて、改めてなんだか涙が出た。
日々生まれ変わっていく細胞。
私が私であるということを規定しているのは結局のところ肉体ではなくて、記憶ではないのか。
人が死んでも残るものは、この世に残るものは、その死者に関する他者の記憶のみである。
他人の記憶の中に、死者は生き続ける。
しかしながら記憶というものは甘やかで、いつの間にか自分の都合の良いように編纂されるものでもある。
カズオ・イシグロはいう。
ノスタルジーという感情は、人間にとってもっと敬意を払われてもいい重要な存在ではないか、と。
まあそうだよね、それが我々を我々足らしめることに直結してるのであれば。
というわけで、抗えない運命というもの、例えば抗えない別離や老いや死というものはあるんだけど、その中でも精一杯人間らしく正直に愛して、また愛を表現して生きたいなとふと思いました。
これは私の解釈なのだけど、カズオ・イシグロの子供の頃の守られている美しい記憶というものや、執事がたどる自分の中の個人的に大切な記憶というものは、やっぱり突き詰めると愛情表現というところに繋がると思う。
美しい思い出として何かを思い出せる時、そこには結局愛情を感じられた時間があったからだと思う。
仕事に邁進するのもいいことだし、天職を持つことが自分の天命を全うすることのように思う。
でもそれだけじゃなくて、それと並行して、やらなくちゃいけないことな気がする。
まあそれを通じて、でもいいんだけどね。
仕事=人生でも、仕事がない人生でも、豊かにすることはできて、でも豊かにする上で愛情表現みたいなものは欠かせないんじゃないかしらと。
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