盲導犬 日本が誇る宮沢りえ [芝居メモ]
渋谷bunkamuraのシアターコクーンで、「盲導犬」を見てきた。
原作は澁澤龍彦の犬狼都市、作は唐十郎、演出は蜷川幸雄に、主演は古田新太、宮沢りえ、小出恵介と、作り手から演じ手までわりかし興味があったので見てきた。
2階席立ち見の当日券で2000円。いいっしょ。
当日券の立ち見席は、もちろん一時間前に当日券を買いに行かないといけなかったり、番号順に並ばされて劇場に入場したりと、まあもちろん面倒もあるのだけれど、逆にいえば、いちいち予定がわからないずいぶん前からチケットをGETしておかなくてもいいので、その面倒を考えれば、超リーズナブルだし、ふらっと気が向いた時に気軽に見に行けて、けっこう好き。
S席は9500円、A席7500円、そこまで払って見たい程ではないという。
でもあれね、一応、クレジットでは最初に古田新太だし、 最後の挨拶も彼だったけど、完全に宮沢りえのほうが主演の風格があったわ。
古田新太は、悪くないけど、普通だったかなー。小出恵介も、あんまり存在感なかったかな。
最初のセリフまわしなんて、いかにも「劇のセリフまわし」っていう棒読みで、あまり芝居上手じゃないのかな?と感じた。
一方りえちゃん。
あまり芝居がうまいイメージがなかったのだけど、全然上手かった。
先に見た知人が、ちょっと声が細いかも?と言ってたけど、それも全然感じなかった。
すごいいい芝居してたし、今は体型も細すぎず太すぎず、圧倒的に美しい。
ポカリスウェットのCMのような彼女の本来の天真爛漫な輝かしさと、
伊右衛門のCM的な大人になって以来の儚げな気品は根底にある中、
作品的な演出もあって、艶やかさというか、妖艶さが加わって、宮沢りえ、ここへ来て晩成!と思った。
(JINSのCMでも、最近の宮沢りえの妖艶な魅力を、取り上げているか。)
まあそんなわけで、 元々ふんどしルックも厭わないようなりえちゃんだけあってか?
猥雑な演出も、堂々とこなし、頼もしかった。
この魅力は、本当に日本が世界に一番に誇れる女優なのではないかと感じた。
世界に通用する美貌でありつつ、日本的な繊細な魅力も持っているし。
10年前頃から、宮沢りえは凄く魅力的だと思っていたが、ここへ来て完全復活と言いたい気分になった。
ここから先はネタバレです。
一番良かったのは、最後かな。
さようなら、私の初恋。
初恋を手放した瞬間に、銀杏(りえちゃん)が死んでしまうシーン。
青春か死か。
さて、あと破里夫(古田新太の役ね)が小出恵介に「お前から星をとったら、お尻しか残らないじゃないか」というセリフは良かった。
でも逆に言うと、他のセリフもシーンもそんなに心に刺さらなかったかな。
もう思い出せない程度だ。
フェティッシュなシーンはいっぱい。蜷川幸雄っぽい。
宮沢りえに盲導犬の胴輪をつけて四つん這いにさせて、「わん」を言わせてみたり。
古田新太にバーナーを持たせて、それでその胴輪を焼き切らせようとさせたり。
赤いドレスの宮沢りえに、真っ白なパンツを足首まで脱がさせてみたり。
大林素子にミニスカポリスの格好をさせて、四つん這いで歩かせたり。
宮沢りえが古田新太や小久保寿人に伸し掛られて、裾を乱すシーンも。
ちなみに主演はみんなズボン脱いだかな。古田新太も、小出恵介も。
あと本物の犬が5匹くらい舞台に出て来たけど、大きい音が鳴るのとか、ちょっと犬が可哀想だった。
そんなに犬が音にびっくりしてなかったのは、まあ練習で慣れてはいるのだろうけど。
筋も、そんなに響かなかったかな。
まああれね、天井桟敷の人々とか、嵐が丘に近いストーリーよね、ある種。
なんだ、昔そういうの流行ったのか?
つまり、恋人がいたのに、ある意味恋人を裏切って、金のために金持ちと結婚した女が、
昔の恋人に再会するっていうところで話が転がるっていうのがね。
盲導犬と盲人と、どちらが主なのか。
一応それが根底を流れるテーマ。
たしかに盲導犬は絶対服従のようでいて、主人を危険にさらす命令には従わない。
不服従の犬。
そこがヒントになったのか。
原作は読んだのか忘れたので、また読んでみようかな。
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