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未来を生きる君たちへ [映画メモ]

すべての分野において。

今、私にとって、一番面白い人は、映画評論家の町山智浩さんだ。
前も書いたかもしれないが。
彼の映画紹介のポッドキャストは、まあ1回20分くらいのもんだと思うけど、
ものすごい上質な文学作品を1冊読み終えたくらいの感激を100発100中でもらえる。

知らない外国の文化が知れるという意味で、知的好奇心が満たされることもさることながら、
人類共通の残酷でどうしようもない部分と、でもそれをなんとかしていこうと挑んでいく部分とを
両方しっかりと見せてくれるような映画の内容を、ほかの映画やら文化的背景やらといった
ことに対する豊富な知識を引き合いに出しながら、的確に面白く語ってくれるわけで、
いつも本当に心が揺さぶられるのであった。

たぶん彼の選ぶ映画は、私にとってはずれがないし、
映画を2時間見るより、彼の解説を聞いたほうが、理解しやすいかもしれない。
それぐらい、とても的確に、上手に話される。

今回聞いたのは、「未来を生きる君たちへ」という
今年8月に公開になる映画の話だった。

「未来を生きる君たちへ」という題名は、意訳らしく、
デンマーク映画であるこの映画の原題は「ヘフネン」=「復讐」というらしく、
話を聞いたこところ、まさに「復讐」をテーマにした映画だった。

学校で暴力によるイジメを受ける少年2人が友達になり、
いじめっ子に暴力で復讐をする。

そうしたら、いじめられなくなった彼らは、
「やられたら、やり返す」ことが正しい処世術だと学んでしまう。

そしてデンマークではどうやら隣国であるにもかかわらず
スウェーデン人が差別されているらしく、
スウェーデン人である、少年の父親もまた、社会にて差別的な暴力を振るわれたりする。

だが、やりかえそうとしない父親を見て、
少年は、「なぜやりかえさないのか」と歯がゆく思い、
少年らはついには、父親に、復讐の機会をお膳立てまでしてしまう。

だが、父親には思いがあった。
彼が過去に犯した罪(たぶん浮気)を、どうしても許せない妻との別居状態。
医師として赴任した先(アフリカ?)でさんざん見てきた、血で血を洗う、復讐の繰り返し。

実際に、彼自身が
周りの人々を傷つけ殺しまくっている悪人を、治療放棄するか否かの
選択を迫られたこともあった。

だが、彼は職業上、倫理上、彼を助けた。

復讐からは何も生まれない。
赦すことを人はしなくてはならない。

そして父親は、息子の前で、暴力を振るってきた相手に、反対の頬も差し出す。

世界中の色々な場所で、大人も子供も、つねに決断を迫られ、戦っている。

・・・話を聞いているだけで、胸が痛くなった。

この映画が、ハッピーエンドならいいんだけどね。

こんな風に、人の痛いところに切り込んでいく映画は見るのに勇気がいる。
だけど、こういうことに切り込んでいくんだったら、本当に映画は大金かけて作る意味があると思う。


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