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映画「悪人」感想。

「怒り」と同じ原作者、監督、同じく妻夫木ということで、やっぱり見てしまう。
「怒り」が2016年、「悪人」が2010年。

悪人は見てなかったけど、当時、脱色した髪の妻夫木聡の田舎の冴えない男演出に、うおおっと思った記憶はあるし、不幸な女と不幸な男の話っぽさが、恐ろしくて見てはいけないものな気がして見られなかった。

今の私なら見られる。
さて、順番が逆だけど、「怒り」でキラキラブッキーを見た後に、「悪人」で鬱屈したどんよりブッキーを見ると、同じ人とは思えなくて、本当に役者さんってすごいなと思った。
怒りでは、6歳分歳を取ってるはずなのに、自信満々キラッキラな成功者、もちろん清潔感溢れる美男なわけだけど、悪人では、よく見りゃイケメンとすらなかなか思えない。
歩き方とか姿勢にも、冴えなさが表現されててすごいなと思う。
怒りでは、綾野剛とか宮崎あおいが、歩き方がかなり特徴的で、演技指導されたんだろうなと思ってたんだけど、共通点を感じる。

共通点といえば、妻夫木聡のセックスシーン。
どちらも出会い頭に、強引にバックから攻めるスタイル。
これは誰の好みなんだ?監督?原作者?
ここまで強引なセックスなのに、結局相思相愛になるという展開も一緒。

あと一緒なところはやっぱり犯罪者とかサイコパスとか悪への見解。
でもちょっと犯罪者を、訳のわからない理解できない人として思い描きすぎなんじゃないかとやっぱり思ってしまう。

もちろん私は実際にサイコパスを知人として知っている訳じゃないけど、たとえ殺人者といえどももう少し人格や行動に一貫性とか、二面性があるにしても、そういう二面性ある人っているよね、というあるあるな納得性みたいなもんがあるのでは?と感じてしまう。

あんまりにも唐突だったり、人格描写が荒唐無稽だと、残念だ。

まず岡田将生の役。さすがに大した理由もなく女を山奥に放置する?
で、その女が死んだのに、それを笑い話にして、さすがに周りが一緒になって笑う?

次に満島ひかりの役。さすがに山奥で惚れた男に置き去りにされて、その後に、出会い系で出会った男が車に乗せてくれようとして、あんな態度に出るか?
あとつけられててキモいとか、プライドがズタズタとかはわかるけど、一応何度も継続的に会う程度には安全な男が車に乗せて送ってくれると言ってるなら、地獄で仏じゃないか。
レイプされたって言いふらしてやるとかの逆恨みも、意味がわからない。

次、深津絵里。
出会い系で出会いを求める、2ヶ月前に縁が切れた男にさらにメールを送る、ホテルに誘われてすぐに受けて立つ、私は本気だったのと素直に申告する・・・
こういうところがある人は行き遅れないと思うんだよな。
美人で性格もいいけど、いまいち恋愛をつかめない人の特徴は、積極性のなさと、素直な自己開示のなさ、ノリの悪さ、冒険心のなさ・・・そういうところな気がするので、こういう要素のあるなら、彼女は普通に全然恋愛をつかめているはずで、妻夫木に執着する必要はない気がするんだが、、まあ出会いのない地だとそういうこともあろうか。

で、妻夫木聡。
いい、いそうな感じ。車だけが彼の趣味でありアイデンティティであり発散の場で。
ただ、最後のあれなー。
「俺、あんたの思っているような男じゃない」といって、首を絞めるやつ。
あの妻夫木の顔つきが変わるやつ。

あれで、「え!???」となるわけだけど・・・
まあさ、警察が踏み込んできた瞬間にあえてそれをやる、というところから、すべての罪を一人で被る(深津絵里は共犯者ではなくて、被害者として仕立てる)という意図と、深津絵里に、俺のことなんか忘れて前に進んで欲しい、という意図があると解釈できますが・・。

まあでもさ、ちょっとリアリティにかける気はする。
それに妻夫木の顔が憤怒に塗れた殺人者みたいな顔になるから怖いんだよな。
それで急に、実は別に満島ひかりに脅迫されたからじゃなくて、ただ侮辱に腹が立って首しめて殺したのでは?という説も頭に浮かぶもんね。
ただ、深津絵里が恋しいという描写と、深津絵里をこれ以上巻き込めない、もう自首しなければ、という描写は何度も出てきて一貫性があるので、急に最後に殺人鬼になる意味がわからないので、やっぱりあれは警察に対して、深津絵里に対して、悪人ぶったということだと思うよね。
まあでもね、惚れた人が殺人犯だったら、確かに、この人はいい人なの悪い人なの、とわからなくはなるのはリアルなのかも。

にしても思えば、妻夫木聡はセックスシーンが多い俳優なのかな。
それともたまたま私が見た映画がそうなのか。
妻夫木といえば、ジョゼと・・・なんだけど、それも確か生々しいセックスシーンがあった気がするが。

まあでも「悪人」のセックスシーンは、「生きてるか死んでるかわからないような日々を送って」いた彼らが自首するまでのわずかな時間を一緒に過ごしたいと思う、「生」の象徴的な描写なので、意味がすごくあるわけで。

出会ったばかりで恋やら愛やらという言葉はにつかわしくないけど、傷の舐め合いでもなく、欲や不安をぶつけてるだけでもなく、お互いの中に生きる意味を見出して、一緒にいることに意味を見て、これからも一緒にいたいと思ったという意味では、結構純粋な尊さがあって、映画を見る前に抱いていたようなうんざりするような感じではなかった。
まあ現実逃避、、、という面はあるけどな。

結局、それが恋か愛か友情か、呼称はよくわからなくても、このひとといると心地いい、この人とずっと一緒にいたいと思えるか、なんだろうな。

そういうシンプルさで恋愛に突入していって、普通にうまくいっちゃうその素朴な感じの描写は、私は割と好感持てるし、すっと入ってきた。

素朴ではあるんだけど、丁寧でもあって、1回で急に意気投合するわけじゃなくて、少しずつ戸惑いながら心が開いていく感じがいいんだろな。
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