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Netfix映画「2人のローマ教皇」の感想。 [映画メモ]



評判か何かにより、ずっと見たいと思っていたのだが、見始めるのは億劫でなかなか見てなかったのだが、ここは妥協して作業中のバックミュージック的な感じで、適当に観ようということにして、さらに、日本語訳で見ようということにして、見始めた。


結果としては、ラテン語とかスペイン語の割合が多いので、日本語字幕にしていても、結局ほとんど字幕(英語のところだけ日本語吹き替え)で見ないといけなくて、聞き流しながら内容把握しようという野望は果たせなかったのだが、内容が興味深くてすぐに引き込まれた。


控えめにいって傑作。

事実をもとにした映画、というのは、けっこう危険で、描きようによっては事実をゆがめてしまうので、どこまでが映画どおりなのかわからないが、映画として傑作だし、Netflixオリジナルということは、ドキュメンタリーに強いNetflixのことだし、それなりにたぶん信用できる、つまり事実をそこまでゆがめては描かないように思う。



涙が流れるなら嬉し涙でありますように。


真理は重要だが、愛がなければ耐え難いものになる。


妥協したのではなく、変わったんだ。


という、印象的なフレーズが残ったんだけど、私は、この映画を見て結構ボロボロ泣いたのだが、いい方の涙だったと思う。

映画を見て泣く、というのの中でも、高品質な方の感動、高品質なほうの感情の揺さぶられ方だった。


これは今まで人生の中で観た映画の中でも、歴代10本の指に入るのではないか、と思わせる素晴らしい映画だと思った。

何がすごいというのは、やっぱり人間の結論というのは、100歳近くにならないと出ない部分があると思う。


さらに、世界最高峰ともいえる地位についている老人であり、権力も知力も政治力もバリバリに現役な80歳、90歳、というところだ。

70歳くらいで現役というのは、大統領にしろ首相にしろ、社長にしろ、ままあるけど、90歳近くてばりばりに現役っていうのは貴重だし、しかもこの映画の何が一番素晴らしいって、そういう人同士が、馴れ合いにならずに、ちゃんと議論を闘わせ、それでいて、意見が全く合わなくても、お互いにあり方に理解をしめし、認め合い、友情を深めていくところだ。


そして90歳近く、権力のトップに近いようなところにいた人の話は、何が面白いかと言えば、当然、歴史の荒波、不条理に揉まれていて、けっしてきれいごとでは済まされないような経験をしてきていることだ。

ただそれがマフィアのボスだったり、経営者だったり、政治家だった場合、組織を守るために手を汚した経験も、見て見ぬふりをしたことも、判断を誤った経験も、必要悪として合理化されがちで、そこまで悩ましいものにならないのかもしれないが、この人たちはなんといっても世界で一番徳の高い聖職者。


さらにそれらの罪というのは、隠しおおされているわけでもなく、ある種公然のものだから、現在進行形で批判にもさらされ続ける。

敬愛される一方で、裏切りもの扱いされたり、評価は二分。


教皇のような浮世離れした存在でも、少年時代があり青年時代があり、孤独や救いや夢や希望があり、、さらには挫折や罪を抱えた上で、孤独に頑張り続けてきた人間臭い存在として描いていて、さらにはそんな感じで辿り着いた80歳でも、そこからまだ愛したり、変わったりすることができるという可能性。


そういうところに、感動した。


さらに物語の展開も見事で、最初は喧々諤々のところから始まり、それでも友情のようなものが芽生え、そんな中で、お互いの人間性がわかる過去と罪の告白が入り、、教会の在り方などの意見上では対立し、慣れあわないものの、心の深い所では理解を示しつながりを感じて、別れるふたり。

その後、ニュースで、教皇が生前退位することを知り、、という流れは、ちょっとローマの休日っぽいのだ。

非日常のお姫様と親密に過ごした2泊3日、みたいなね。


もちろん、枢機卿は、結局次の選挙で新教皇に選ばれるので、たんなる平民ではないんだけど。


さらにアルゼンチンの歴史について知ることができたのもよかった。


そういえば、キリスト教団体が、自分の組織や信徒を守るためには、人道に反する政治勢力に屈しないといけなくて、武器をとって政治勢力と戦うか、政治勢力に加担するか、どちらかの選択に迫られて・・という話はほかでも聞いたことがある。なんの映画だったか。映画ではなかったか。どこの国の、いつの時代の話だったか。


あとバチカンの笑っちゃう浮世離れ感もよく表現してて面白かった。

私が訪ねたことがある旅行先の中でも、ものすごく独特なところだったことは記憶してるし、白い煙が、黒い煙が、、とかニュースでやってたのも朧気に覚えてるけど、今思えば笑ってしまう。

皆既日食みたいな珍しいものとして、ふーんって聞いてた気がするけど。

生前退位も700年ぶりで、実はすごく斬新な決断だったのね。


とにかくこの映画はよかった。


人生はまだまだこれからだ、とい思わせてもらえるし、人は誰しも過ちと傷をかかえながらも贖罪の意味もこめて生きているというように勇気をもらえる。


しかも、ちょっとコメディタッチでもあるので、そこまで重たくならずにほっこり暖かい気持ちにさせてもらえるが、けっして生ぬるい映画ではない、その匙加減もとてもいい。


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