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百円の恋 [映画メモ]

うーん、すごいな、今年のベスト映画賞かも、わたしの中で。

幸せとは言えない女の子がボクシングに出会って挑戦していく話なので、ミリオンダラー・ベイビーもちょっと思い出されるけど。

もっとどうしようもない、一銭にもならないようなレベルの話。

そっか、考えてみたらミリオンダラー・ベイビー意識してるのかもね、タイトルも。

向こうが百万ドルのベイビーなら、こっちは百円の女。

主人公も顔のうっすーい、きたなーい年すらくってる女。

そんな存在そのものが痛いニート女が、身分不相応に恋をしたら、それはやっぱり痛い恋だし。
痛いことが普通に起きる生活。

でもそんな一子にも良い所がいっぱいあるんだよね、前は見えなかったけど。

そんな生活の中でも、ムックリ起き上がって進む。
きっと底辺の生活ってそうなんだよ。
悲惨なことが起きて、悲惨だって叫んでも何の助けも来ないのが底辺の生活なんだよね。

それでも彼女は自信を喪ってないし、何より殴り合ったり肩を抱き合ったりそういうのっていいなぁと思える純粋な心を持っていたり。

まあでもそれはフィクションであり過ぎ書きだから、所詮そこまでだ。

だから結局何にそこまで感動させられたかというと、一子を演じる安藤サクラにだ。

市子を演じた彼女の時間、そこには市子と同じ痛みと死闘があったように思わせられる、その熱演ぶりに涙が止まらなくなった。

これはその説得力がなければ成り立たない映画だと思うけど、彼女がすごいからほんとに凄い映画だった。

ここまでの熱演って、洋の東西を問わずこれまで私見たことないかも。

そしてこの映画の凄いところはいっぱいあって、私が特徴的に凄いと思うまず一つは、彼女がズタボロに負けるってところで、頑張っても頑張っても結局むごたらしいまでにコテンパンにやられるんだけど、それでも立ち向かう姿が美しいと思わせられるところ。

成上がりストーリーは世の中沢山あるし、カタルシスがあるけど、そんなの面白くない。
勝者が美しいのは当たり前だ。
勝ち目がほとんどないのに闘志を喪わずに立ち向かっていくことの尊さには本当にうたれた。

それにずっとリアルだ。
偏差値30の私が東大合格みたいなのじゃなくて、偏差値30の奴は吐くほど頑張っても所詮偏差値48にしかならなくてやっぱり大学に全部落ちちゃうかもしれない。

それは世の中的には身の程知らずの話でしかないけど、彼女の家族にとってはやっぱりリアルにすごい話だと思う。

彼女の死闘を見ていて、それぞれが自分も頑張ろうと思わせられる。
諦めるのは簡単なんだよね。


とにかくすごい映画だった。
ご都合主義じゃない再生。
人間存在の尊さ。
どんなクズにも尊さも美しさもあるって、ご都合主義じゃなくて思わせてくれる、生きるってことの祝福みたいな映画。
それもこれも安藤サクラの凄さありきで、ちょっと尊敬する俳優になったかも。
俳優を尊敬するのは初めてかも。
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