英国王のスピーチ [映画メモ]
英国王のスピーチ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- メディア: DVD
アカデミー賞を受賞したときから、見たいと思っていたんだけどこの度やっと見た。
最近見た映画の中でも、相当によかったな。
そして、この映画を見るまで私は、左利きを右利きに矯正された子供が吃音の症状に悩まされるケースが
非常に多いということを、まったく知らなかった。
この映画で知って、本当に?と調べてみたが、どうやら本当のようである。
しかも、その率はかなりの高確率であるらしい。
なんてこと・・・
と、そのことにまず痛ましさ、どこかの虐殺の話を聞いたかのような衝撃を受けた。
それが本当なら、右利きへの矯正って、虐待のようなものなのだろう。
そして、それを知らなかった私は、それをするつもりがなかったとはいえ、
ついこの70年前まで、それを自分の子供に良かれと思ってしてきた凡百の親たちと
大差がないということだ。
そのショックも大きかったし、人がうらやむ王族の生まれが、けっして恵まれたものではないという
他のエピソードのショックも大きかった。
一見偉そうだけど、心の奥底にそういう痛ましさを背負った主人公のジョージ6世が、
「自分には出来ない」「出来ない」を繰り返し、何度も敵前逃亡しようとしながらも、
言語療法士や妻の支えで、なんとか吃音を克服していく姿は、胸を打った。
人が当たり前に出来ることが、自分に出来ない。
目の前でからかわれても、反論ができない。
王として出来ることは、国民に語りかけることだけなのに、それが自分には出来ない。
そんな情けなくてやるせない気持ちとか。
もしも失敗したら世紀の笑いものどころの話じゃないと怯える気持ちとか。
はたまたそれでも、必死に練習する姿とか。
子供の頃に抑えつけられてしまった自信とか。
そういうところを、しっかりと上手に丁寧に表現できていたからこその、感情移入、そして感動なんだと思った。
「5歳の頃の恐れなんて、捨てていい」
「誰よりも、忍耐強く勇敢な王だ」
そして彼に必要な言葉を、経験則で知っていて、彼をコントロールしながら導いていく言語療法士は
とても優秀なセラピストだったのだろうなと思った。
なぜか出来ないものがあって、それに苦しんでいる人も、
明確に過去にトラウマがあってそれに苦しんでいる人も、
リハビリや闘病で苦しんでいる人も。
「私にはどうせ出来ない」というふうに気持ちが折れそうになったことがある人は、
誰が見ても、勇気付けられるよい映画なんじゃないかなーと思った。
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