こわれたこころ [生活雑感]
こわれた時計のねじを、まわすと涙が出たよ。
戻らないあの日々は、ほら遠く。
傷口に誰も気づかない。
助けてよ。
朽ちていく花のように、消えてしまえばそれだけ。
帰る場所を持たない僕らは、遠く。
・・・
by 中谷美紀。
なんだか、今の私の気分に異常にしっくりきてしまった。
今日、部屋の模様替えというか大掃除というかをして、時間が止まっていたCD棚についに手をくだし、
下階にもってきて本棚にした。
最近自分が読んでいる本で埋め尽くされた本棚を見たら、いっきに生活感が出て、現在の私の部屋っぽくなった。
私、生きてたんだな、と思った。
逆に言うと、今生きている私を大切にしていなかった自分に気づいた。
私の部屋は、ずっと時が止まったままで、私はずっと肩身がせまいまま、「もうすぐ出て行くからね・・・」と、
過去の私の部屋を間借りしていたのだった・・・・。
大掃除の途中で一度、家を空けて、戻ってくると、
付け替えた新しいライトを浴びて、家の中が色彩に満ちて輝いていてびっくりした。
まるで、七人のこびとの家に紛れ込んだ白雪姫みたいな気分になった。
ここで、誰かが生活しているみたい。
だれのおうち?
まぎれもない、どこかの女の子の部屋がそこにあった。
そう、それは女子の部屋だった。
男子の部屋でも、大人の女の部屋でもなかった。
びっくりした。
要らないものを捨てて、しまって、本を展開しただけで、そこには奇跡のような、極彩色が広がっていたのだ。
私は、なんだか感動してしまった。
私が死んだら、この部屋のことは誰も知らない。
この部屋のことを、記録しなくては。
この部屋を写真に収めれば、この部屋の持ち主がいったいどんな女の子だったのか、すべてがわかる。
今現在の生きている私を、記録しなくては。
あたし、長島有里枝みたい。
自分のことを記録したいなんて、今まで思ったこともなかったのに。
私は、一眼レフを取り出して、狂ったように、部屋を撮まくった。
自分の部屋が、インドやシチリアの生活観あふれる裏通りのように見えた。
今これを撮っておかないと二度とこの光景には出会えないと思った。
もしくは、この部屋の住人を知らないが、この部屋の住人とその嗜好、その生活をを想像し、好きになりかかっている闖入者みたいな気分だった。
なんだ、これ?
こんなことははじめてだ。
だけど私は、未来に向けて歩み始めたってことだと思う。
いや、ずいぶん前から歩み始めてはいたはず。
だけど、過去のがっちりした檻が重くて、どっかもてあましていた。
誰かが空けてくれるのを待っていたのかも。
だけど、ひとりで出てきたってことだと思う。
これからどこに行くににせよ。
今の私を肯定してあげなきゃならん。
今の私を認めて肯定することが、ここに留まることや、変化や成長を阻害することにはならない。
ちゃんと私を見て、わたし。
そう思った。
それはまるで、たまにしか見ない鏡で、たまにしかしない化粧をした自分を見て。
自分が意外に若くてびっくりする、その感覚に似ていた。
自分が何者なのか、どこに行きつくことになるのかは、いまだにわからない。
でも私は生きてるんだよね。
たてつづけコメントですみません。
読んでて感動しました。
ライトまで付け替えられたんですね。本格的だなぁ。
部屋片付けると、ほんと新しい気持ちになりますよね。
私もたまに自分の部屋を写真撮ります。
by オレンジ (2010-11-09 14:45)
ありがとうございます。
なんか変なテンションの上がりっぷりだったみたいです(笑)。
by flying-fly (2010-11-10 21:53)