みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる [広告まわり]
みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ
- 作者: 仲畑 貴志
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2008/12/16
- メディア: 単行本
良書だね。
私もなんだかんだと何冊かは広告本を読んできたのか、そろそろそんなに新鮮なことばかりではない。
それでもハッとさせられる言葉があった。
「 だって好きなんだモン 」
たしかに、「好き」には勝てない。最後には「好き」が勝つ。
なんかいろいろ足りなくても自社の商品を「好き」と思わせたら勝ちなのだと。膝を打った。
あとは、新人コピーライターへたまに課すという「朝までにコピー500本」というやつ。
こんなの帰り際に先輩につかまって宿題出されたら、わお、だなあ。
でも夜も明けてきた頃、ひねり出している最後の100本を、著者は評価するという。
優美な考え、慈愛に満ちた考え、健康な考えなど、魅力的な考えに基づいたチャーミングな
コピーはほめまくり、邪悪、凶暴、残忍、ズル方向のものを罵倒抑圧するんだとか。
こころからうなづき賛同するコピー、「よく考え付いたね」と感心するようなコピーこそが、いいコピーという。
なんかこの文章を読んで、この著者は、いい人なんだな、と思った。
抜け目ないけど、最終的なところでは、人を肯定している人なのだ、と。
なんだか私は、馬鹿みたいかもしれないけど、「優美」「慈愛」「健康」を魅力的でチャーミングとし、
「邪悪」「凶暴」「残忍」「ズル」を駄目とする価値観に癒された。
「優美」「慈愛」「健康」なコピーこそが、受け入れられているセカイ。そんなに悪くないのだと思う。
また広告屋として認められるには、コピーだけでなく自己アピール、プレゼンすべてに広告的な
アイディアが必要とされるのだ、と思った。
一流の広告屋とホストは近いものがあるかもしれない。異性を落とすためなら徹底してなんでもやる、
それくらいの「徹底リサーチ」&「サービス精神」でコピーに取り組める人は結果が出せる。
そしてそのために必要なのは、相手の気持ちの機微にどこまで気づけるか、どこまで相手のことを
思いやれるか、 だったりするのだろう。
優美・慈愛・健康・・・ 優美・慈愛・健康・・・ 私もそんなコピーが好きだ。
コメント 0