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冬の眠り アン・マイクルズ [読書メモ]

冬の眠り

冬の眠り

  • 作者: アン マイクルズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/01/11
  • メディア: 単行本
 
 
 
 
 
 
 
阪神淡路大震災以後の、村上春樹作品は、喪失からの再生を描いているものが多い印象がある。
そしてそれがとても、 喪失から立ち上がろうとする人のヒントになると感じていた。
 
 
「冬の眠り」も、喪失体験から立ち上がる話ということで、興味を持って読んでみた。
 
こちらはもっと深いかもしれない。
 
実際に喪失を体験した人が読んだ方がいい気がした。
 
自分には共感しきれない部分がある。
 
ただ文がとても素敵で、ところどころハッとさせられる一文が出てくる。
 
 
・不在、それが何なのかずっと昔からなんであったのかを、ジーンはようやく感じ取った。
 それは存在だったのだ。
 
・愛で作られたものはすべて生きているのだ。
 
・人間がやることは全部嘘の慰めだ。でも言い方を換えれば、どんな慰めも全部本物なんだ。
 
 
一言で言ってしまうと、流産の話である。それだけではないけれど。
 
ちょうどこの本を読んでいるときに、町山智宏氏のPodcastで「赤い影」という映画の話も
聞いていて、こちらも子どもをなくす話であり、ひどく内容がかぶった。
 
それまでとても愛し合っていて完璧ともいえる夫婦仲の夫婦だったのに、
子どもをなくしたことで、夫婦の間に修復しがたい溝が生まれていってしまうのも一緒だ。
 
私は子どもを持った事がないけれど、子どもを失うということがどれだけつらいのか、
想像しただけで、食欲がなくなる。
 
だが、子どもを持っている人からしたら、想像できるだけにもっと悪夢なのだろう。
 
妻がどんどん追いつめられて行き、そんな妻を見ていて夫がどんどんつらくなって行くというね。
 
つらさがある所まで行くと、人間は「信じる」ことで乗り切ろうとするのね。
たとえ事実じゃなくても、信じたいほうを信じるほうに頭を切り替えたがるのね。
 
そして次に、代償を必要とする。
お墓であったり、儀式であったり、レプリカであったり。
 
それはウソでありまやかしなのか。
いや、違う。
不在をつよく感じるのは、かつて存在があったからなのだ。
不在の認識は、存在の認識に他ならないのだ。
愛の代償は愛なのではないか。
 
ということを、そんなにわかりやすくは書いてないけど、
アウシュビッツとか、湖の下?に沈んでしまった町とか、
そういったことと絡めつつ、じっくりじっくりと考えていく話だ。
 
じっくりとは読んでないですが。
 
町の歴史と絡めてくあたりは、すこしミラン・クンデラを彷彿とさせた。
 
 
 

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